• "確保"(/)
ツイート シェア
  1. 宮城県議会 1992-03-01
    03月11日-04号


    取得元: 宮城県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    平成 4年  3月 定例会(第244回)     第二百四十四回宮城県議会(定例会)会議録                        (第四号)平成四年三月十一日(水曜日)  午後一時二分開議  午後四時四十五分散会      議長               亀谷博昭君      副議長              根深善雄君出席議員(六十二名)      第一番              坂下康子君      第二番              遊佐雅宣君      第三番              藤倉知格君      第四番              大学幹男君      第五番              仁田和廣君      第六番              伊東 憲君      第七番              高橋浩一君      第八番              千葉 達君      第九番              佐藤勝彦君      第十番              岸田清実君      第十一番             菅原 哲君      第十二番             石橋信勝君      第十三番             庄子 守君      第十四番             村上敏子君      第十五番             菊地 浩君      第十六番             高橋長偉君      第十七番             相沢光哉君      第十八番             高橋俊也君      第十九番             大沼迪義君      第二十番             萱場正美君      第二十一番            斎藤正美君      第二十二番            伊藤康志君      第二十三番            木村洸也君      第二十四番            佐々木ひろし君      第二十五番            高橋 稔君      第二十六番            菅野信男君      第二十七番            餅 道夫君      第二十八番            長島秀道君      第二十九番            黒須光男君      第三十番             千葉正美君      第三十一番            佐藤 勇君      第三十二番            渡辺和喜君      第三十三番            今野隆吉君      第三十四番            遠藤宗一君      第三十五番            中野正志君      第三十六番            大沼謙一君      第三十七番            百足健一君      第三十八番            鈴木 昇君      第三十九番            中沢幸男君      第四十番             佐藤 勲君      第四十一番            高橋善幸君      第四十二番            長谷川 正君      第四十三番            金子哲郎君      第四十四番            三上良喜君      第四十五番            曽根冨二男君      第四十六番            坂下清賢君      第四十七番            錦戸弦一君      第四十八番            佐藤光輔君      第四十九番            佐々木久壽君      第五十番             渡辺 浩君      第五十一番            渥美鉄太郎君      第五十二番            高橋健輔君      第五十四番            中村健一君      第五十五番            文屋 公君      第五十六番            安住仁太郎君      第五十七番            須藤正夫君      第五十八番            野口考吉君      第五十九番            斎藤栄夫君      第六十番             森  康君      第六十一番            佐藤常之助君      第六十二番            根深善雄君      第六十三番            亀谷博昭君欠員(一名)      第五十三番    ──────────────────────────────   説明のため出席した者      知事               本間俊太郎君      副知事              若生 修君      副知事              川崎正信君      出納長              丹野諒二君      公営企業管理者          小野寺完夫君      総務部長     事務吏員    八木 功君      企画部長     事務吏員    中村 功君      生活福祉部長   事務吏員    兵藤 司君      保健環境部長   技術吏員    伊田八洲雄君      商工労働部長   事務吏員    槻田久純君      農政部長     事務吏員    高橋正勲君      水産林業部長   事務吏員    森 熊三郎君      土木部長     技術吏員    間所 貢君      出納局長     事務吏員    讃井貞人君      企業局長     事務吏員    松木伸一郎君      総務部次長    事務吏員    須藤弘志君      総務部秘書課長  事務吏員    菅原清毅君      総務部財政課長  事務吏員    山内健生君   教育委員会      委員長              葛西森夫君      教育長              大立目謙直君      教育次長             千葉眞弘君   選挙管理委員会      委員長              針生陸郎君      事務局長             高橋 渉君   人事委員会      委員長              大沼直治君      事務局長             石崎泰司君   公安委員会      委員長              鈴木泰三君      警察本部長            田中節夫君      警務部長             大園猛志君   地方労働委員会      事務局長             市川 宏君   監査委員      委員               佐藤輝夫君      委員               阿部光郎君      事務局長             小林一丈君    ──────────────────────────────    議会事務局      局長               今里寅男君      理事兼次長                       高松力男君      総務課長事務取扱      議事課長             瀬川光雄君      調査課長             加藤幸男君      総務課長補佐           二上政紀君      議事課長補佐           遠藤幸之君      調査課長補佐           高橋孝夫君      議事係長             大沼仲一君      委員会係長            水戸敏男君      記録係長             佐藤 昭君      主事               布田恵子君      主事               小野一彦君    ──────────────────────────────    議事日程    第四号         平成四年三月十一日(水)午後一時開議第一 会議録署名議員の指名第二 議第一号議案ないし議第七十号議案並びに報告第一号及び報告第二号第三 一般質問    〔今野隆吉君、坂下康子君、高橋俊也君、佐々木ひろし君〕    ──────────────────────────────    会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員の指名二 日程第二 議第一号議案ないし議第七十号議案並びに報告第一号及び報告第二号三 日程第三 一般質問    〔今野隆吉君、坂下康子君、高橋俊也君、佐々木ひろし君〕    ────────────────────────────── △開議(午後一時二分) ○議長(亀谷博昭君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。    ────────────────────────────── △会議録署名議員の指名 ○議長(亀谷博昭君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に五十六番安住仁太郎君、五十七番須藤正夫君を指名いたします。    ────────────────────────────── △議第一号議案ないし議第七十号議案 △報告第一号 △報告第二号 △一般質問 ○議長(亀谷博昭君) 日程第二、議第一号議案ないし議第七十号議案並びに報告第一号及び報告第二号を議題とし、これらについての質疑と日程第三、一般質問とをあわせて行います。 なお、お手元に配布の印刷物のとおり、質疑、質問通告に変更がありました。 前日に引き続き質疑、質問を継続いたします。三十三番今野隆吉君。    〔三十三番 今野隆吉君登壇〕 ◆三十三番(今野隆吉君) 議長よりお許しをいただきましたので、一般質問をやらさしていただきますが、厚生委員会に所属しておりながら、私はゴルフ場の農薬問題なども取り上げ、そして農薬についての資料なども提出してくれというような要望などもしばしば出しておったわけでございますが、市民団体等から提出されました情報公開によってそれが出てまいりまして、議会で質問したときには出てこない、これでいいのだろうかと、議会に対する権威の問題、それからそういったような問題に対しての疑問を抱きながら一般質問をやらさしていただきます。 ことし平成四年は、三月一日から施行された新しい法律、暴力団対策法を筆頭に、社会生活にいろいろな影響をもたらす形になります新しい法律や制度が次々と採用され、実行に移される年であるようであります。今回は、その中から学校の授業日数を一週間に五日とする週休二日、学校五日制に関連した諸問題を取り上げまして、本県としてのどのような対応策が必要かといったことを、私の提言も織りまぜながら申し上げ、本間知事を初め関係各担当部局の御意見をお伺いいたします。 ゆとりある暮らしの実現を目指す労働時間の短縮という社会的な要請で、民間企業ではかなりの企業が週休二日制を導入してまいりました。これに対応して官公庁や金融機関などでも毎月第二、第四土曜日を休日とする制度が実施され、ほぼ定着していることは御承知のとおりであります。こうした流れを背景に、マスコミの報道によりますと、文部省が二月二十六日に省議を開き、新年度の第二学期から学校五日制の実施を正式に決定したと伝えられております。 これまでの経過を私が調べた範囲で申し上げますと、週休二日制を学校教育にも導入すべきだという声に応じた文部省は、一昨年四月から東京都など全国九都県の六十八校をモデル校に指定して、月に一回ないし二回の土曜休校をテストする一方、学識経験者による調査研究協力者会議を設置して検討を進めておりました。協力者会議は、昨年暮れ、第一段階として、平成四年度中に月に一回の土曜休校を導入するのが適当だという中間報告を公表し、その後PTA団体や各学校関係者らのヒヤリングを行ったようであります。その上で、去る二月二十日、平成四年度の二学期から月一回、第二土曜日を休日とする学校五日制の導入を求めた審議のまとめを文部大臣に提出、それが文部省の省議となって実施されることになったのであります。マスコミ報道の記事などによりますと、当面は第二土曜日一回だけを五日制にして、これから試行錯誤を繰り返しながら、何年か先の完全週五日制に向けて前進する計画であります。平成四年度からは、モデル校の対象を各都道府県の合計二百三十五校程度に拡大して、次の段階に、月に二回の土曜休校の実施を目指した調整、研究を行う予定だということであります。当然、本県にも文部省から実施要領やモデル校の指定などの連絡があったものと思われますが、これについては後で詳しく御説明を願います。 何といっても、これは現在の学校休日のあり方を定めた明治以来の制度の変更でありますから、学校、子供たち、その周辺の地域の人たちが新しい制度になれるまでには、ある程度のまごつきや混乱が起こるだろうということは覚悟しなければならないと思います。最終報告で、官公庁の閉庁日を考慮して、第二土曜日の休校導入を提言した協力者会議は、導入の際の配慮事項として、学校現場には子供の学習負担をふやさないように授業のカリキュラム編成や指導方法を工夫するよう注文をつけております。その上で休日の子供の活動の場を確保するために、学校施設の開放や公共施設の整備充実を図ることとか、ボランティア指導員などの人材養成に努めることなど、学校や家庭と地域社会が一体となって受け皿づくりを進める必要性を強調し、更に塾の関係業界に対しても、過度の塾通いにつながらないように理解と自粛を求めております。制度の改正によってふえることになる子供の休日を活気ある充実したものにすることは、協力者会議が指摘しているように、学校、家庭、地域社会の役割ですが、今の子供たちは二十一世紀の社会の担い手であるという観点に立って見ますと、この問題は社会全体の責任として、みんなが知恵を出し合って真剣に取り組み、積極的に推進するよう努力すべき課題であります。このように学校の五日制は私たち大人に対しても厳しい問いかけをする問題になっていることはおわかりいただけると思います。 そこで、具体的な問題に入らさしていただきます。 まず知事と教育長にお伺いいたします。学校五日制導入のきっかけが大人の社会の週休二日制普及に合わせて、家庭での親子の生活時間を同一にして行うという点に大きなねらいがあったことは容易に推察できます。私もその点については賛成している者の一人であります。子供たちの自由時間の増大が、近年いろいろな面でぎくしゃくが目立つようになった家庭生活の円滑化、活性化に結びついてくれるようになることを期待しております。原因がどうであろうとも、子供の休日をふやすことの最大のねらいは、児童生徒が学校に縛られない日をふやして、ゆとりと自由を与える機会をふやすことにあるわけであります。しかし、今の子供たちの現実の姿を見ますと、県内でもほとんどの市町村の子供たちの学校の外での、いわゆる校外生活は、大まかに言いますと、学校とのその延長線で暮らしていると言ってもよいように見えます。子供たちは、放課後や夜間には学習塾やそろばん塾などに追われて、家族と一緒に過ごす時間は、びっくりするほど少ないのが実情であります。この面に手をつけないままで休日をふやしたならば、どんな姿になるでしょうか。協力者会議でも検討結果報告の中でこの問題に触れております。子供の生活全体を見直し、家庭や地域での生活時間の比重を高める必要性を強調しております。全くそのとおりで、子供たちの周辺にいる大人としては、この見方を真剣に考えて、休日増をスムーズに進行させることに協力していく必要があります。子供たちの生活形態を考えてみますと、その背後にある学校教育現場での成績評価のあり方、そしてそのような空気を醸成する原因となった高校、大学などの入試制度、更にはその背景になっているのが社会人の価値観をゆがめている学歴偏重意識であるなど、さまざまな要因が重なり合っており、教育そのものが、将来の社会人を育成する人間性教育よりも学力重視の知識詰め込み教育が主体になっていることを指摘せざるを得ないのであります。世界でも珍しいと言われる、人間の人格や能力よりも出身学校の方が重視される学歴偏重社会日本のため、子供たちの生活をゆがめてきたのが大人だということを申し上げ、県としてこれらの基本的な問題をどのような対応策で考えておられるのでしょうか。 まず第一に、学校と塾との教育内容のバランスをどう図っていかれるのかという点であります。休日増の実施は九月、すなわち二学期からということになりますから、まだ準備期間はありそうに見えますが、平成四年度の学校教育は四月から始まりますから、カリキュラムの内容の調整となりますと、もう期日はないのであります。更にほぼ同じタイミングで、従来の知識重視の教育から、論理的な思考力育成に力を注ぐことを重視した新学習指導要領が実施されることになります。つまり、教育の内容そのものが大きく変えられるときに、休日制度も変わるわけでありますから、当然こうした面では、学校の体制内での話し合いはもちろん関係各方面との話し合いも進めておられることと思います。また、休日の学校施設の活用の問題や高校の入試制度の件につきましても、知事及び教育長から御説明をお願いいたします。 休日になる日をどう使うかは、本来は子供自身の問題ですから、子供本人に自由に、しかも主体的に選択させるのが原則であります。読書に没頭する子供がいてもよいでしょうし、遊びに専念する子供がいても構わないと思います。もちろん、時と場合あるいは子供の年齢によっては親や周囲の人たちのアドバイスが必要なこともあるでしょう。両親の家事の都合ということもありますから、むしろそうしたケースが多くなるかもしれませんが、その場合でもできるだけ人とのつき合い方が身につく遊びや豊かな感性につながる自然体験の機会をうんとふやしてやるべきと思いますが、いかがでしょうか。 次に、子供たちの校外生活に見る問題点を考えてみます。 先日、仙台に列車通勤している私の知人が、列車通学している高校生の日常の話題が、最近はパチンコでもうけたとか損したという話に変わってきたが、しかも大勢の乗客がいるところで大声で話し合っているのには驚いたと語った上で、うそだと思ったら、君も通学時間帯の列車に乗ってみなさいと、列車内での喫煙や吸い殻やごみの投げ捨てなど、列車通学生の非行すれすれの行為で一般乗客が迷惑をこうむっている事例をいろいろ話してくれました。私も早速調査してみたいと思ったのですが、忙しさに紛れて、まだ実際には見ておりません。しかし、この人のほかにも同じようなことを教えてくれた方もありますから、事実だと思いますが、学校の先生方の中には列車通勤の方がかなりいると思うので、こういった事例は情報として県教育委員会の方にも入っているのではないでしょうか。もしおわかりならその実情もお知らせ願います。この例を取り上げましたのは、学校五日制の実施となれば、校外での子供たちの生活指導及び補導の問題が、当然大きな比重を持った教育課題、行政課題になってくると思われるからであります。 極端な例では、先日、名古屋市で発生した、小学生と中学生の三人組が乗用車を盗み、自転車で通りかかった婦人からハンドバックを引ったくり、全国的な話題になった事件がありましたが、近年は宮城県でもスーパーやデパートでの小中学生の万引き事件の補導率がふえているという話を伺っております。こうした事例に対する県教委やPTA、警察当局の対応策は、その都度話し合われてきたことと思いますが、学校五日制が実施されるとなれば、必然的に校外での指導や補導の比重が加重されることになりますので、県教委を中心とした学校やPTA、民間ボランティア団体、それに警察の補導機構との間で綿密な連係プレーの構想が練られているものと思われますが、いかがでしょうか。社会人としての子供たちの教育にとって、この部門での活動の役割は非常に大きいので、どんな体制がつくられることになるのか、説明をお願いいたします。 子供たちの余暇時間を、社会人としての人間育成に活用するためには、学校施設並びに社会施設をどう活用するかということ、子供たちの育成に協力してくれる指導者の確保が大きな課題となってまいります。これには、各市町村当局及び市町村教育委員会がどのような体制で臨むかにかかっているわけですが、県及び県教育委員会は、各市町村に対してどのような指令あるいは指導をしてこられたのでしょうか。この点につきましても、県内各地域の現状はどうなっているのかを含めまして、できるだけ詳しく御説明を願います。 さて、この問題と密接に絡んでまいりますが、さきの本会議で、私が本間知事にお願いいたしました善処方のお約束をいただきましたスポーツ少年団への補助金の増額問題は、その後ほとんど変化がありませんが、この際もう一度学校五日制実施に伴う子供たちの指導の実質的な効果を上げるという意味から、真剣に再見直しをしていただきたいものであります。子供たちの校外活動の指導で直接的な効率を上げている代表的な組織がスポーツ少年団であることは、今さら御説明申し上げるまでもないでしょう。スポーツ指導を受けているときの子供たちの目の輝きとスポーツへのあこがれ、自分の能力向上と真剣に取り組んでいる子供たちの表情の明るさと熱意は、知事にもぜひ見ていただきたいものであります。先般フランスのアルベールビルで行われた冬季オリンピックで、大活躍を演じ、明るい表情で国際親善の実を上げてくれた日本選手の大半が、子供のときから地域のスポーツ少年団スポーツ指導団体の中で育った人たちであることが、子供たち指導の重要性を雄弁に物語っております。 県内には、数多くのスポーツ少年団が結成されておりますが、先般も申し上げましたとおり、スポーツ施設の使用料の経費捻出にも困るほど経済的困難に追い込まれているのが実情であります。これでは思いどおりの活動ができないのも当然であり、各スポーツ種目に多くのすぐれた人材を抱えていながら、県全体としての成績が不振な原因もここにあると思います。現在、こうしたスポーツ少年団などの指導、助成を担当している県の所管は、県の教育委員会保健体育課の担当となっておりますが、学校の週休二日制が定着して、校外でのスポーツ指導の範囲が拡大されるようになれば、必然的に業務内容が大幅に増加してくることは避けられないと思います。更に本県の場合、平成十三年宮城国民体育大会の開催準備を抱えることになりますから、担当部門の機構拡充と担当職員の増員を急いでいただかなければなりません。 そこで、私の提案でありますが、現在の保健体育課保健体育部に昇格させることはいかがなものでしょうか。昨日の菊地議員の質問で、県民会議を設置するようでありますが、更に民間知識人の方々を委嘱したスポーツ振興に関連した委員会を、部長の諮問機関として設置し、学校スポーツの周辺を固める県内スポーツ振興環境づくりを促進する方法を考え出してほしいと思っております。当然スポーツ少年団に関連した予算の増額もお願いしたいところですが、この点に関する知事の御見解と教育長の御意見をお聞かせ願います。 次に、行政面では総務課の担当になっている私立幼稚園、小中高校、大学や担当部課が分かれている各種専門学校などにつきましても、ことしから学校五日制が導入されることになり、校外での指導につきましては、公立校と同じ土俵での指導ということになるわけで、これも県の教育振興の大きな課題になってまいります。この点で、県及び県教育委員会と各学校との間で、何らかの話し合いとか打ち合わせは行われていたのでしょうか。この問題につきましては、それぞれの担当部門における現在までの経過をお聞かせ願います。いずれにせよ九月から実施される学校五日制は、これまで申し上げましたように、県の各行政機関に影響をもたらすということだけでなく、県民生活にもいろいろな面で変化を促すことになるわけで、学都仙台を擁する教育県、宮城県で、明治以来の学校六日制を切りかえることになる新制度を円滑に実行に移し、社会に役立つ子供たちを健全に育成していくことは、県民にとっても大きな責務であります。御所見をお伺いいたします。 次に、県の附属機関についてお伺いいたします。 県では、法律や県条例などにより、各部局において多数の審議会を設置しております。国土利用計画地方審議会、社会福祉審議会、温泉審議会などなど、相当の数の審議会が設置され、我々議員もその委員として審議に携わり、私も幾つかの審議会の委員の委嘱を受けているところであります。 さて、これらの各種審議会は法律により設置が義務づけられているもの、あるいは県が独自に設置をしているものなどさまざまであり、大部分はその設置目的に沿った活動がなされているものと高く評価するものでありますが、私個人の経験からすると、必ずしも活発な活動審議がなされていない審議会があるのではないかと調査をいたしましたところ、平成二年度において全く開催されなかった審議会十四、また審議会開催のための予算措置もされていないもの十一も見受けられました。そこで、それぞれ設置について必要性は認められるのでしょうけれども、効果的な行政執行や審議会の活性化の観点から、これらの整理統合を図るべきではないかと思うが、知事の御所見をお伺いいたします。 最後に、選挙開票事務についてお伺いいたします。 全国的に注目された参議院宮城選挙区の補欠選挙は、今月八日に投票が行われ、即日開票されました。全国注視の中で、開票作業は午後七時から順次始まり、NHKを初め民放各社も熱心な報道を繰り返し、県民も極めて大きな関心を持ってこの選挙報道を見詰めていました。選挙戦は事前の予想を更に上回る接戦となり、最終的な結果は、仙台市や石巻市など有権者の多い都市部の動向に左右される形となり、県民のみならず全国の多くの目がその開票作業に注がれました。こうした中で最も有権者の多い仙台市が午後十時までに開票作業が終了したにもかかわらず、石巻市では、その段階で開票率はようやく五〇%を超えたばかり、他の残票処理に手間取った白石市を除く六十九の市町村で作業が終わった後も、最終的には午後十一時過ぎまで開票事務を続けることになりました。この間、県民への結果のお知らせがおくれ、いらだつ報道陣に対し、石巻市の選挙管理委員長が「機械じゃないんだから、予定どおりいかないのは仕方ないじゃないか。」と声を荒げる一幕もあったと伝えられております。公職選挙法第六条第二項では、選挙の結果については、有権者は速やかに知る権利があり、選挙事務担当者は、選挙民に対して速やかにそれを知らせる義務があります。他の市町村の作業と比べて、義務違反と言われてもやむを得ないところがあるのではないでしょうか。たまたま石巻市議会議員選挙が重なったという事情に同情しないわけではないのですが、それは選挙期日が決まった時点からわかっていたことであり、この規定から考えれば、そうしたことも踏まえた上で、開票作業の準備を進めるべきではなかったかと思います。石巻市の今回の選挙開票事務については、市議会議員選挙でも、ある候補者の中間段階での得票数を百票も多く数え間違えて発表するなど、考えられないミスが起きました。選挙は民主主義を支える基本であり、その実施に当たっては、周到な準備を厳粛な気持ちを持って執行するのが重要だと考えられます。しかし、石巻の開票作業の実態は、県民にそれを疑わせるものでした。県は今度の選挙に当たって、こうした点について石巻市やその他の市町村に対してどのような指導を行ったのか。また、今後選挙に対する取り組みに関してどのような指導をし、監督を行っていくつもりなのか、選挙管理委員長の御見解をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。 ○議長(亀谷博昭君) 知事本間俊太郎君。    〔知事 本間俊太郎君登壇〕 ◎知事(本間俊太郎君) お答えをいたします。 学校週五日制実施に当たっての基本的な問題につきまして、県としてどのような対策を今後考えていくかと、こういう御質問でございますが、私からは総合的な方針を申し上げさせていただきたいと思います。 現在の子供たちは、文明も高度に発達してまいりましたし、大変豊かな生活の中に置かれております。また、情報がはんらんしているというような時代でもございます。このような社会の大きな変化の中に置かれておりまして、私どもが見る限りでは、どうも知識過剰で、頭でっかちの人間が多いのではないかというふうな危惧を抱いておるわけです。学校と家庭を往復するだけで、友だちが非常に少ない。あるいは、かぎっ子や核家族の子供が多い、テレビで世界じゅうのことは知っておりますけれども、実際にみずからの経験がない。例えば、プールで学校で泳ぎますけれども、昔の子供たちは、川でみずから水泳をして自分の体を鍛えていた。水というものは高いところから低いところへ流れて、そうして時には大きな災害ももたらすということは、知識では教えられますけれども、その水の怖さというものは、みずから川において経験してないとわからない。遊ぶ中におきましても、十分みずから注意しないと安全は得られないということは、なかなかプールなどでは得られない経験なんですね。 これは単に、今、水の件を例に挙げましたが、人間関係におきましてもいろんな問題が起きております。実際に人間が知るということは、頭だけで知るのではなくて、心と体全体で知るということが本当にその問題を認識するということであろうかと思います。したがって、そういう観点から言いますと、大変経験不足で、イメージ力も豊かではない、思いやりが欠けているのではないか、こういう心配もいたしておるわけです。同時に、共稼ぎ家庭もふえておりまして、また一方では、受験戦争というものに絶えず脅かされておって、塾などに追いやられて、中学生などは大学生よりも勉強しておる、こういうような生活を余儀なくされておるわけでございます。したがって、いろいろな子供たちをめぐる諸問題が教育の問題についてはあるわけでございまして、私どもは、このような観点を十分に考えて今後地域社会全体で問題に取り組んでいかなければならない、このように考えておるわけでございます。 そういうことを含めまして考えますと、学校週五日制の導入のねらいというものは、第一に、ただいま申し上げましたように、社会の変化が進む中で子供の望ましい人間形成をどう図っていくか、こういう観点に立ちまして、学校、家庭また市町村などのそれぞれの地域社会全体が、どう提携しながら教育全体の子供の人間性というものを大事にして、どうあり方を見直していくかということがやはり重要な問題ではないかと思っておるわけです。 二番目といたしましては、学校教育におきましても、みずから学ぶ意欲と、それから自分で考えていくといいますか、主体的に考え行動できる能力を伸ばしていく必要があるわけですね。子供たちの中で遊んでいたり、あるいはいろんな地域社会で触れて、みずから判断力を高めていったのがかつての子供たちが成長した立派な人間が育ったわけですけれども、こういう経験が非常に少ないということが問題でありまして、こういうことを考えていかなければならない。つまり児童生徒みずからの力によって、みずからの判断力を身につけていく、あるいはみずからもさまざまな課題に挑戦して自己実現を図っていく、こういう意欲を持たせることが大事であります。 第三には、家庭や地域社会において子供が主体的に使うことのできる時間を確保して、立派な人間性を開花させるということが大事でございます。先ほど申し上げましたように、そろばんの塾から受験の塾から、何とかピアノを習うとか、大変な子供は追いまくられておるというような状況でございまして、ゆったりとした子供らしい時間を得るということが非常にない。したがって、家庭や地域社会の中で、創造性の基礎となる能力というものをいかにして身につけさせるか、そして豊かな感性なり社会性を育てていくかということが大事でございます。 こういうような、大きく言いまして三つの問題があるわけで、学校週五日制が実施されるということは、このような観点に立って望ましい方向へと向けていくということが、この学校週五日制の大きな課題だと考えております。したがって、これを実施するに当たって具体的な課題は、学校におきましては、御意見にもありましたとおり、適切な教育課程を編成いたし、これを実施していくということが大事であります。また、開かれた学校づくりというものを推進することも大切であります。家庭やその地域社会におきましては、子供がゆとりある生活の中で人間形成の基礎を培っていく、豊かな自己実現を図るようにしていく、さまざまなスポーツも結構であります。いろんな奉仕活動も必要であります。さまざまな体験を通して、生き方を学んだり、人間性というものを高めていくということに十分配慮する必要があると考えております。また、過度の学習塾通いでありますとか、塾の経営者に対しまして、あるいは親も塾へやっておけばいいんだ、こういう安易な子供の育て方についても互いに反省し合って、理解と協力を求めていくということも大変重要であります。 現在、教育委員会におきまして、これらの具体的な課題に対応した条件整備のあり方などについて検討いたすために、学識経験者やPTAあるいは学校関係者などから成る学校週五日制推進協議会の設置など、学校週五日制の円滑な実施に向けまして、準備を進めておるわけでございます。今後県として必要な措置については十分配慮してまいりたい、このように考えておりますが、今野議員が特に指摘されたように、子供がいかに有意義に時間を使うか、その過ごし方をどうサポートしていくか。またその指導者あるいは子供たちとつき合う人たちをどういうふうに、ボランティア活動も含めましてどういう研修をしていくかということが、私どもとしては考えなければならない具体的な問題ではないかと思っております。いずれにしましても、十分教育委員会で検討してもらいたい、こう考えております。 次に、スポーツ少年団についてでございますが、本県のスポーツ少年団活動は、全国的に見ても大変活発に行われておりまして、こうした活動は、何といっても指導者の皆さんの大変な熱意によって支えられているというふうに認識いたしておりまして、心強く、また感謝の気持ちを持って見守っておるわけでございます。今後学校週五日制が実施されますと、これまで行われてきたこうした地域に根差したスポーツ少年団活動の輪がまた一層広がって、活発に活動を展開していくための条件整備なり、我々のサポートをどうやっていくかということも確かに必要な観点になると、このように思います。県としましても、これまでも指導者の養成なり組織の拡充などに努めてまいりますとともに、補助金の増額にも配慮してまいりました。なお、ちなみに申し上げますと、平成三年度から平成四年度にかけましては、約三倍に増額をしてまいっております──三倍以上ですね。今後は、市町村における指導者の育成が一層重要となってまいりますので、関係者の意見を十分に聞くなどして、効果的な支援を行うことができますよう検討してまいりたいと思います。 また、スポーツ振興につきましては、先日菊地議員からも御質問がありましてお答えいたしたとおりでございますが、部制をとったらどうかということでございますが、これについては、それぞれの都道府県なりの組織というものは、人口に応じまして部制というものがあらかじめ決められておって、数をたくさんつくるというわけにもなかなかまいらないという事情もございます。しかし、やはり御意見のとおり、今後国体に向けまして、十分強化していかなければならないと考えておりまして、今後計画を立てまして、段階的に組織を拡充し充実させてまいりたい、このように考えております。 なお、学校週五日制の具体的な問題については、教育長から答弁をいたさせたいと思います。 次に、県の附属機関についての御質問にお答えをいたします。 御指摘のように、一口に附属機関と申しましても、法律によりまして設置が義務づけられているもの、あるいは法律などでその設置が条例に委任されているもの、それから県独自で必要があると認めて設置しているものと、この三つの種類がございまして、我が県におきましては、現在六十五ある附属機関のうち、法律などでその設置根拠があるものは五十三機関でございます。したがって、大多数が法律に根拠を置いておるわけでございます。したがって、このような附属機関につきましては、行政運営の簡素合理化の観点から必要に応じまして、国に対しその見直しを要望しなければならないわけでございます。また、県独自に設置している附属機関につきましても、類似の機関で処理できるものについては、御意見のとおり統合いたしておるわけでございます。新年度におきましても、統合するものも出てまいると考えておりますが、更には、委員数の適正化を図るなど、常にその見直しに努めておるところでございます。しかしながら、行政不服申し立てに係る審査を行う附属機関などは、その開催実績は確かに少なかったりするわけでございますけれども、その必要性の有無を判断することができない場合、やはりどうしても置いておかなければいけないというものもあるわけでございます。いずれにいたしましても、御指摘のように行政の効率化あるいは附属機関の活性化という観点は極めて大事なことでございますので、その運営方法等につきましては、なお検討を常に続けてまいりたい、こう考えております。以上でございます。 ○議長(亀谷博昭君) 教育長大立目謙直君。    〔教育長 大立目謙直君登壇〕 ◎教育長(大立目謙直君) 今野議員にお答えいたします。 初めに、学校週五日制の実施要領や調査研究協力校の指定につきまして、文部省からの連絡はどうかと、こういう御質問でございますが、学校週五日制の実施につきましては、三月中に省令の改正が行われ、これを受けて休業日の規程等の整備に関し、所要の通知がなされると聞いております。また、調査研究協力校の指定につきましても、間もなく通知が出る予定と聞いております。基本的には、各都道府県の幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特殊教育諸学校の各一校ずつ計五校が指定される見込みであります。これらの学校におきましては、月二回の土曜日を休業日として試行することになりますが、実施時期、指定年数、実施内容については、まだ国において検討がされている段階──これは、国の予算の成立ぐあいといいましょうか、そういうこととも関連があるわけでございます。 次に、学校と塾との教育内容のバランスについてでありますが、学校週五日制の実施に伴う学校における教育は、各学校において適切な教育課程を編成実施いたしますとともに、指導内容の精選や指導方法の改善を図ることにより、これまでの教育水準を維持しつつ、心豊かな児童生徒の育成を目指して行っていくこととなります。また、休業日となる土曜日に家庭や地域社会において子供がゆとりのある生活の中で、人間形成の基礎を培い、豊かな自己実現を図るようにするとともに、子供がさまざまな体験を通して生き方を学んだり、人間性を高めたりするよう配慮する必要があります。したがいまして、学校週五日制を導入することによって学習塾通いが過度に増加し、児童生徒の豊かな人間形成を阻害したりすることがないよう学習塾を含めて家庭や地域社会の理解を深めることができるように努めていかなければならない、こういうふうに思っております。 次に、学校週五日制や新学習指導要領の実施に伴い、休日の学校施設の活用の問題、あるいは高校の入試制度に変更が生じてくるのかと、こういうお尋ねでありますが、学校施設の活用につきましては、当然学校週五日制が実施された場合には、社会教育施設やスポーツ施設等の活用と相まって、子供たちの身近な遊び場として積極的に学校施設を活用していくことが望まれ、これまで以上に校庭や体育館等の開放を促進していくことが必要であると考えます。 高校入試制度の変更につきましては、学校週五日制が月一回実施の場合は、そのことによる入試制度の変更は必要ないと思いますが、将来完全実施の段階に入り、学習指導要領の改定が行われた場合には、入試制度の変更も生ずる余地があるのではないか、このように考えております。 次に、豊かな感性が身につく遊びや自然体験の機会をふやすことについてでありますが、子供たちの人間形成にとりまして、感性を豊かにする遊びや自然体験学習の機会をふやしますことは、極めて大切であります。このためにPTAを含めた学校や家庭、地域においては、これまで社会教育施設での宿泊訓練や親子キャンプなどさまざまな形の活動を展開してきております。学校週五日制の実施に際しましては、こうした学校外活動の一層の充実が望まれますので、常に子供たちとのかかわり合いを基本にとの共通理解のもとに、関係団体の連携を深め、学校外活動が円滑に推進できるよう市町村教育委員会を指導してまいりたいと存じます。また、学校外活動に係る指導者の養成を目的といたしまして各種指導者研修事業を実施し、あわせて情報提供にも努め、意識の啓発を図ってまいりたいと存じます。 列車通学の高校生の話題や列車内での喫煙等の実情についてでありますが、御指摘にありましたように、喫煙や怠学等の問題行動、大声を出しての雑談や、席をとるためのかばんの投げ入れなどの問題がありますことは、関係機関によります年四回の乗車補導の結果として承知しております。その連絡によりますと、喫煙や怠学等の問題行動で補導を受けた者は、約八十人程度となっております。こうした生徒の問題行動につきましては、学校はもとより中学校・高等学校生徒指導連絡協議会や学校・警察連絡協議会におきまして、情報交換を行い、それぞれの学校で適切な指導が行うことができるように対応をしているところであります。 次に、校外指導の関係でございますが、学校週五日制の実施に伴う校外での生徒指導や補導についての県教育委員会を中心とした連携づくりでありますが、現在、児童生徒の健全育成を目指しまして、学校、PTA、地域社会及び関係機関が連携を図り、中学校区を単位とした地域ぐるみの生徒指導を推進し、大きな成果を上げております。また、各警察署ごとに学校・警察連絡会を組織いたしまして、児童生徒の非行防止にも努めておるところであります。今後学校週五日制の実施に当たりましては、これらの組織や活動の充実を図りますとともに、近々設置を予定しております学校週五日制推進協議会におきましても、地域の実情に即した青少年の健全育成のための指導体制のあり方や関係機関、団体による連携について協議検討をお願いしてまいりたいと考えております。 次に、学校や社会教育施設と指導者の確保についてでありますが、子供たちの健全な育成を図るためには、学校及び社会教育施設の活用と指導者の確保が極めて大切であります。このためこれまでも学・社連携の一環としての学校施設開放事業や、施設の特色を生かしました社会教育事業の展開、市町村社会教育主事の養成や青少年団体指導者育成事業を実施しております。現在、文部省では、学校週五日制の実施に向けて、学校開放事業や社会教育事業に関連し、地方交付税措置による指導者の配置や、地域少年少女サークル活動推進事業などを実施することとしております。県教育委員会といたしましては、このような状況を踏まえ、学校施設を気軽に活用できる環境づくり子供たちが主体的に参加できる事業の開発等に市町村が積極的に取り組むことができますよう指導いたしますとともに、さきに申し上げました指導員配置事業やボランティアの育成を含め指導者の養成確保を図ってまいりたいと存じます。なお、市町村に対しましては、学校週五日制の実施に向けての情報提供を行い、検討を行うよう進めておりますが、現在十八市町村で検討委員会が設置され、その他の市町村におきましても、準備が進められております。 次、機構の問題になりますが、保健体育部の設置の件でありますが、お話のありましたように、国民体育大会の開催準備、今後の学校週五日制に伴う校外でのスポーツ活動の拡大や生涯にわたるスポーツ活動の振興を図るためには、これらを担当する組織の充実並びに人員の増強を図っていくことが必要であると考えております。このため来年度は、国民体育大会の準備の万全を期することといたしまして、新たに国体準備室を設置することとしたところであります。近い将来には、全県を挙げての取り組み体制として国体局を設置することが必要となりますが、当面は同準備室の充実に努力してまいりたいと存じます。また、今後選手強化を計画的に進めるための必要な組織及び人員の配置、更には生涯スポーツの充実への対応につきましても十分意を用いてまいりたいと考えております。 次に、民間人によるスポーツ振興委員会の設置についてでありますが、学校週五日制の実施に伴うスポーツ少年団を含めた子供たちスポーツ活動の活性化あるいは人生八十年時代を迎えての生涯にわたるスポーツ活動の活性化、こうした社会変化に対応していくためのスポーツ振興のあり方につきましては、これまでもいろいろ学識経験者スポーツ関係者等から御意見をいただきつつ総合的に対応してきているわけでございますが、こうしたための機関といたしましては、スポーツ振興審議会が設置されております。これまでもスポーツ振興に関する多くの提言をいただいておりますが、今後学校週五日制の実施に伴うスポーツ活動のあり方につきまして、検討をお願いしてまいりたいと考えております。 それから、スポーツ少年団に対する補助金の増額についてでありますが、地域におけるスポーツ少年団活動の促進を図りますために、これまでスポーツ少年団交流大会の助成や運営費の一部助成を行ってきました。平成三年度から指導者の育成を促進するため、県内八地区連絡協議会の助成を、来年度は指導者研修事業に対し新たに助成を行うこととしております。今後とも学校週五日制の実施等にも対応したスポーツ少年団活動が一層活発に展開できるよう配意してまいりたいと存じます。 最後に、学校週五日制に伴う校外指導についての私立学校との対応についてでありますが、これまでも校外指導については、私立学校と公立学校とが歩調を合わせまして、県内各地区の学校・警察連絡協議会や地区補導連盟、仙台市生徒指導研究会などを通じまして、生徒指導に関する研究協議や街頭補導を行ってきておるところであります。学校週五日制の実施に当たりましても、引き続きこれらの組織的活動の連携強化や校外指導の充実が図られるように、関係諸機関と協議してまいる所存であります。なお、私立学校における学校週五日制への取り組みにつきましては、高等学校校長部会、あるいは研修会において検討がされていると聞いております。県の教育委員会といたしましては、先ほど申し上げました学校週五日制推進協議会にも私立の代表の方にも入っていただき、御意見をいただきつつ進めてまいりたいと思いますし、これから県の教育委員会として取り組むべく具体的な内容がまとまりましたら、そういった情報についても提供しつつ、公私力を合わせて学校週五日制が円滑に実施していくことができるように努力していきたい、こう考えております。 ○議長(亀谷博昭君) 選挙管理委員会委員長針生陸郎君。     〔選挙管理委員会委員長 針生陸郎君登壇〕 ◎選挙管理委員会委員長(針生陸郎君) お答えいたします。 県の選挙管理委員会としましては、市区町村の選挙管理委員会に対しまして、選挙事務の管理執行に遺憾のないように常日ごろ指導してきているところでございますが、今回の選挙に当たりましても、去る二月の七日に市区町村の選管の委員長さん、書記長さんにお集まりいただきまして、この徹底を期したところであります。しかしながら、ただいま今野先生から御指摘がありましたように、石巻市における参議院の補欠選挙並びに市議会議員選挙におきまして、開票事務に不手際がございまして、開票作業がおくれましたことについては、まことに残念に思っております。今後とも県の選管といたしましては、いろいろな会合やあるいは研修の場をとらえまして、選挙事務の管理執行に落ち度のないようにするように指導を徹底してまいる所存でございます。 ○議長(亀谷博昭君) 再質問──三十三番今野隆吉君。 ◆三十三番(今野隆吉君) 今のスポーツ少年団の知事及び教育長の答弁の中で、予算を三倍にしたという答弁があったわけですが、これは三倍というのは数字では発表できないんでしょうか。私は創造の翼、婦人の翼、これも実行していただかなくちゃいけないという、これは大賛成なんですが、これに一億五千万かかっておってですね、三万人スポーツ少年団の団員のいるこの団体に対して、予算づけ──予算だけで物を判断できませんけれども、しかしながら、現場で指導する指導員、大変苦労しているわけでありまして、この答弁の中で三倍つけたと言われますと、非常に多額の金額がついたような受けとめ方をされるわけでありますので、その点もう一度詳しく御説明願いたいと思います。 それから、生涯教育とか生涯スポーツとかいうことで、行政側がいつも説明してくださるわけですが、教育面そしてスポーツの面を見ましたときに、宮城県の場合は、先ほど申しましたように保健体育課が所管でやっておりますが、ヨーロッパに行ってきますと、実際にフランスのレンヌ市に行ってきたんですが、この市の場合は、助役さんがスポーツ担当助役ということで、ちゃんとスポーツ担当者が助役として位置づけされております。県の方でもやはりスポーツを重視するのであれば、副知事さんあたりが担当副知事としているか、あるいは教育長と別枠で置くぐらいの熱意がなければ、生涯スポーツというものを実際に実行できないのではないだろうかなあと、そんなふうに思います。以上、追質問でありますけれども、もう少し詳しく御説明を願いたいと思います。 ○議長(亀谷博昭君) 知事本間俊太郎君。    〔知事 本間俊太郎君登壇〕
    ◎知事(本間俊太郎君) お答えをいたします。 スポーツ少年団補助金につきましては、平成二年度六十九万円だったわけですが、平成三年度百六十万円、平成四年度二百六十万円と徐々に拡大しております。もともとがもとですので、そのような状態になっております。いろいろ今後とも御意見を踏まえて検討させていただきたいと思います。 それから、保健体育課の問題でございますが、もともと私もスポーツ振興──ヨーロッパどうなっているかというようなこと、昔いろいろ勉強に行ったことがあるんですけれども、スポーツの歴史が全く違うわけですよ。日本の場合、明治になりまして学校ができてから学校の運動場をつくり、講堂を昔はつくって、学校からスポーツが始まったわけなんですね。例えば、西ドイツの例ですとそういうことじゃなくて、市民がもともとスポーツをやっておって、学校教育は、これは教会などから発達してきたわけですが、学校が中心じゃないんですね。民間でも全部スポーツクラブ制がありまして、大人から子供まで皆会費を払ってやっている。そして、例えばプールなども、市やなんかに立派なプール一つ置いといて、学校の生徒はそこへ通って、先生が引率してそこで立派な市民のスポーツ指導者、水泳のベテランなどに教育、指導していただく、プロに教えてもらう。それに加えてスポーツ医学などのアドバイザーなどの制度もしっかりしておって、地域的にそういうことをやっておるわけです。東ドイツなんかは、地域においても競技大会いっぱいやりまして、すばらしい選手をより抜きにして、ある学校へ集めて養成しているというようなことがございます。したがって、我が国は学校からスポーツを育てているという状態なんですね。そういう意味では、ヨーロッパの学校よりも、プールはある、体育館はある、グラウンドはあると、比較的恵まれてるんです。もっと地域社会と一体となってスポーツをどう振興するかという観点から考えなければいけないのではないかとも思いますが、御意見は御意見として、我々としては受けとめさせていただきたい、こういうふうに考えます。 ○議長(亀谷博昭君) 三十三番。 ◆三十三番(今野隆吉君) 本当に知事さんの今の御答弁は大したもんでありまして、私も地域スポーツというものの位置づけを重要視しなくちゃいけないのじゃないかと思います。今知事さんが、そのようにお話あったわけですが、知事はそれに対しての取り組みはどうでしょうか。今の答弁に対して、ヨーロッパの、具体的にひとつここで答弁を願いたいと思います。 ○議長(亀谷博昭君) 知事本間俊太郎君。    〔知事 本間俊太郎君登壇〕 ◎知事(本間俊太郎君) かねがねそういうことで我々の日本におけるスポーツの振興というものも、学校だけの狭い社会で育てるのではなくて、やはり地域の体協なり、こういうところと一体となっていくべきだというふうに考えておるわけですが、なかなか今までの学校の枠というのは、外からの指導者はなかなか受けられないような体質にもなっておるんですね。ここはいろいろ問題がありまして、いろいろ課題があるわけですけれども、やはり今後の社会教育におけるスポーツ振興というものを、地域社会と学校とが一体となっていくような体制が望ましいと考えております。しかし、それをどうやるかということをこれから皆さん方にも御意見いただいて、改善策があれば対応していきたい、そういう中でスポーツ少年団でありますとか、少年少女のスポーツ教室でありますとか、各地域でようやく芽生えてきていることは、大変好ましいことだと思っておりますが、問題は、まだ十分な指導者が得られていないというところに我々の地域のスポーツ振興において問題があるのではないかなと、こんなことも考えております。そういう趣旨を今後も踏まえて、よい体制はどうしていったらいいかということを今後とも模索してまいりたい、このように思います。 ○議長(亀谷博昭君) 一番坂下康子君。    〔一番 坂下康子君登壇〕 ◆一番(坂下康子君) 通告に基づきまして、私は、救急医療対策、防災ヘリコプター運用、女性対策の三点について質問をいたします。 まず、救急医療対策として、プレ・ホスピタルケアの充実と救急施設の整備の必要性についてお伺いをいたします。 既に、何人かの先生方が質問をなされているように、近年の救急医療に対するニーズはますます増大しております。先月と今月、東北自動車道で大きな玉突き事故が三件相次ぎ、一件は六十七台も絡む事故で、二人が死亡、三十六人が重軽傷、別の一件は五台が絡み、三人が死亡、二十人が重軽傷を負ったというもので、現場はまるで廃車置き場さながらの状況ということでした。 このような交通事故が年々多発し、深刻化する一方で、高齢化社会が進み、急病や一般負傷による救急車の出動も今後増加していく傾向にあります。県内消防長会議の資料によれば、平成二年に宮城県内で出動した救急車の件数は三万六千五百四十九件、うち搬送人員は三万四千九百三十二人にも上りました。搬送された救急患者が速やかに適切な病院で適切な治療を受けられるシステム、施設の整備とともに、救命率アップのために欠かせないのが病院前応急処置、いわゆるプレ・ホスピタルケアです。 一九八九年、大統領訪日の際に、米国が行った日本の医療についての事前調査では、ホスピタルケア、病院内での治療については、日本は米国などと同様の水準を確保しているものの、救急医療、特にプレ・ホスピタルケアでは、人の生死を左右する重要な処置が行われていないことに驚いたと伝えられました。そして米国のマスコミは、数年前の日本で、社会人女子バレーボールの試合中に倒れ、死亡したハイマン選手に何らのプレ・ホスピタルケアも施されなかったことなどを取り上げ、日本の救急医療の貧弱さを指摘しております。実際、我が国のプレ・ホスピタルケアの現状は、医師の関与が少なく、救急隊員による応急処置の内容も、欧米諸国に比べ、いまだ不十分な状態です。全国に設けられた救急救命センターで取り扱うDOA、デッド・アライバル、つまり病院到着前に心停止、呼吸停止を起こしている状態の患者が急激にふえてきたことを見ても、助かるものを助ける救急医療体制に、プレ・ホスピタルケアの確立は切り離せない課題です。 そこで、消防庁では一九九一年の八月に、対策として救急救命士法の施行と救急隊員の行う応急処置等の一部改正を実施しました。新たに百十五時間の追加訓練を受けた救急隊を昨年秋から出動させているのは、東京消防庁、札幌市消防局、名古屋市消防局、北九州市消防局で、これら四消防本部を対象に行った消防庁の調査では、ことし一月末までに五十七件の具体的救命例が寄せられました。このうち、北九州市では八十八歳の女性がのどにもちを詰まらせましたが、救急隊員が鉗子を使って除去することに成功した例も挙げられています。そのほか、下肢の出血時に、血圧を保持するためのショックパンツや聴診器の使用、また、病院と救急車との心電図伝送、自動式心マッサージ器による心マッサージなど、九つの応急処置が可能となり、患者の救命に大きな成果を挙げております。 救急救命士は、この応急処置の範囲を更に拡大させた国家資格であり、その教育内容は公衆衛生学を初め、内科、外科、小児科学、産婦人科学、精神医学、放射線学等多岐にわたり、今まで特定行為として制限されていた除細動、輸液、ツーウエーチューブによる気道確保も行うことのできるハイレベルのものです。救急救命士法が生まれたことは、我が国の救急医療体制の大きな変革とも言えるでしょう。今後この新制度をどう育成し、さまざまな条件を整備していくかが問題です。 現在、宮城県の救急隊員に対する救急救命士養成機関は、東京の財団法人救急振興財団救急救命中央研修所一カ所のみでございます。研修所は昨年八月二十九日開校され、全国の救急隊員を対象として、第一期生六十名が六カ月間の教育訓練を受けています。宮城県の教育訓練計画は、平成三年度、生徒数六十名のうち宮城県から二名、平成四年度、生徒数百二十名のうち宮城県から三名、平成五年度、生徒数二百六十名のうち宮城県から六名、平成六年度、生徒数四百名のうち宮城県から十名予定となっております。知事は、七月と九月の議会の中で、この研修所への派遣において、救急業務の充実強化に努めていきたいという答弁をされましたが、私があえてまたこの救急救命士の養成について質問するのも、それだけでは足りないと考えるからです。 宮城県の救急業務体制は、消防本部が十二本部、救急隊数五十六隊、救急隊員数が六百十四人のうち、専任が百三十三人、兼任五百三十一人です。救急救命士最低一人が救急車一台に乗るとして、宮城県の最低人員を試算してみますと、五十六台の二交代制掛ける週休率一・三六五で、百五十三人になります。そしてこの数字は、完全週休二日制が導入されれば、もっと増すものであり、現実の救急隊員勤務が体力的にもきつい仕事であるため、常に若い人材を必要としていることからも、最低人員の増加は必至と思います。ところが、現状の教育訓練計画では、前述のとおり、四年たっても計二十一名の養成にしかなりません。その中で、試験に合格して国家資格を取得する者は、更に少なくなる可能性もあります。この宮城県の計画人数と最低必要人数とのギャップについて、知事はどうお考えになるのか、まずお伺いします。 また、救急振興財団は、今後は首都圏以外の地域にも研修所を設けて、救急救命士の養成を急ぎたいという考えを示しました。私は、より医の分野に立つハイレベルの救急医療確立のために、東北にも研修所を設けるべきだと考えます。宮城県には、日本の医療の先端を担う東北大学医学部、そして同大附属病院があり、私は、この宮城県に救急救命士東北研修所を設立し、東北に五千人以上いる救急隊員の救急救命士養成を提案したいと考えます。知事の御所見をお伺いいたします。 また、プレ・ホスピタルケアについて再三申し上げましたが、救命率の向上には病院内処置であるホスピタルケアとその施設がともに充実されなければなりません。しかし、宮城県ということで申し上げますと、現在国立仙台病院と仙台市立病院に救急救命センターを整備している仙台圏を除いては、まだまだ整備が十分ではありません。特に、仙北の栗原、大崎、登米地区において管轄外搬送が多く、平成二年の資料では、栗原地区から管轄外へ運ばれた救急患者は、全体の二六・八%にも上っております。そこで、仙北地区の救急患者の受け皿として、古川市立病院が救急医療センターを併設し、宮城県も助成をしていくつもりであるという知事の言葉が新聞に載っておりました。実に結構なことだと思います。しかし、宮城県として県立の病院である栗原の瀬峰病院、そして、名取市に現在建設中のがんセンターに救急救命センターを併設していく、県立の病院にも救命センターをつくっていくという考えも必要ではないかと思います。知事の御所見をお伺いいたします。 次に、ことし四月から本格運航が決定しました防災ヘリコプターにつきまして、三点質問いたします。 先月、二月に安全祈願祭を兼ねました引き渡し式に、私も総務企画委員として出席をし、四、五分ほど試乗しました。あっという間に四、五百メートルの高度に達し、少し風があったにもかかわらず、正確な離着陸で、スリリングな空の旅を体験させてもらいました。今回の防災ヘリコプター導入に当たり、今までかかわってきた関係各位の御努力に敬意を表したいと思います。 さて、自治体の防災ヘリコプターとしては、既に北海道、兵庫県、静岡県、そして埼玉県が導入されており、宮城県は全国で五番目ということになります。本来、防災ヘリコプターは消防ヘリコプターと違って、山岳救助や火災消火など、消防救助活動には法律上使えないことになっております。そこで、宮城県は埼玉県にならって、各市町村を管轄する消防本部との応援協定を結ぶことによって、消防ヘリコプターと防災ヘリコプター両方の大切な役目を担うことになりました。用途については、その機動力を生かして、災害応急対策活動、救急活動、救助活動、火災防御活動、広域航空消防防災活動、そして一般行政業務となっています。私は、消防防災体制のより充実と強化を重点にした運航管理がなされるべきと考えます。 先日、私は、林業に携わる方から、山で働く人たちがハチ刺されに遭う事故が非常に多く、昭和六十一年と六十二年の林野庁の調査では、二年間で六百七十四人の人がハチ刺されの事故に遭い、うち四人が亡くなっているということ、防災ヘリコプターの活用範囲をその方たちの救助まで広げてもらいたいという訴えをされました。県内においては、昨年九月に青葉山の宮城教育大学構内の野球場で工事中の六十三歳の男性が背中をキイロスズメバチに刺されました。発生時刻は午前十一時でしたが、搬送途中の十一時五十分ごろに亡くなってしまったのです。ハチの毒に対するショック症状によるもので、そのショックを和らげる薬剤の注射は、早ければ早い方がいいのです。一分一秒を争うケースで、交通渋滞などを考えれば、ヘリコプターによる搬送は今後ますます重要になってくるのではないでしょうか。 防災ヘリコプターの航空隊長さんのお話では、山の事故や遭難者のつり上げなど、あらゆる場面に備えているということですが、こういう場合の救急患者の取り扱いについてはいかがでしょう。プレ・ホスピタルケアについて、ここでもお聞きしたいと思います。防災ヘリコプターには、医師もしくは相応の処置ができる救急隊員が乗り込む体制ができるのでしょうか、お伺いいたします。 また、航空隊長さんは、仙台から気仙沼まで車で三時間のところが、防災ヘリコプターではわずか三十五分と、その機動力を非常に強調しておりました。メリットを最大限に生かした防災救助活動を大いに期待するところですが、現在選定中の臨時ヘリポートについて、県内二百八十カ所から五十カ所に絞っている段階と聞いております。四月の本格運航を前に、大分決まったと思いますが、各市町村、特に離島にどれだけ決まっているのでしょうか、お伺いをいたします。 また、本庁舎の行政棟にもヘリポートを置く予定であると聞きました。私は、むしろ救急救命センターなど、あらゆる医療設備を整えた病院の屋上にヘリポートの設置をするべきと考えますが、その予定はおありでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。 仙台市は、今秋導入予定で消防ヘリコプターの選定に当たっております。ことしから宮城県内で二機が新たに運航されるわけですが、お互いの協力で、より効果的な活用をしていただきたいということを最後にお願いをいたします。 最後に、七月議会で私が質問をいたしました本県における女性対策について、再度お伺いをいたします。 知事は、本庁内に女性対策専門の課をつくれないものかという私の提案に対し、今年度中に各方面の意見を取りまとめたいという答弁をなされました。検討の結果が一部報道されていますが、伝えられている女性政策課は、いかなる役割を担うものなのか、庁内各部課にわたる重複する女性関連の行政との関連をどうされるか、お伺いをいたします。 昨年の八月、仙台の不動産会社に勤める女性が、妊娠による出産休暇を願い出たところ、一方的に解雇を通告されました。その女性が法的権利に基づいて仕事を続けていたら、それまでの事務から急に草むしりなど、体を酷使する仕事を言いつけられ、ついに雇い主を訴える裁判を起こしました。子供が生まれるならやめてくれという雇い主に対する女性からの訴訟は、全国的にも珍しいケースに当たり、随分とテレビや新聞にも取り上げられました。現在も係争中です。裁判が始まってから、私は傍聴の方を初めいろいろな方の意見を聞いてみました。ある女性は、特に小さな会社ではよく聞く話であり、大体は仕事をやめ、泣き寝入りも多いと語ってくれました。そして、この裁判のケースを追ってみると、国の機関である婦人青少年室に行って相談をしたけれども、今までの判例には見当たらないと解決の糸口が見つからず、他の行政にも相談の持って行き場がなかったと訴訟に至っています。 平成四年度の女性関連の当初予算案を見てみますと、婦人の活動促進啓発費が千九百八十二万四千円、婦人の生涯学習促進費が二百二万円、婦人海外研修費が二千四百八十九万九千円、婦人会館研修費八百七十六万六千円ということですが、さしあたって悩んでいる女性の相談に宮城県が応じていくための費用は出ないものでしょうか。より県民の側に立った行政サービスとして窓口を設けるとか、相談のスペシャリストを育てていくとか、そういうお考えはあるのでしょうか、お伺いをいたします。 積極果敢に情熱的に伊達なクニづくりを進めている知事の誠意あふれる回答をお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 ○議長(亀谷博昭君) 知事本間俊太郎君。    〔知事 本間俊太郎君登壇〕 ◎知事(本間俊太郎君) お答えをいたします。 救急救命、救急医療等につきましては、やはりこれから非常に大切な問題ではないかと思っております。日本の医療も大分進んでおるわけでございますが、この点については、例えばアメリカなどについてもややおくれをとっておるわけでございます。しかし、県内におきましても、民間の方がみずから患者輸送車──搬送車ですか、こういうものを設置して、お医者さんも乗り込んで県民の皆さんにサービスをしていただいているということもあるわけでございまして、我々もこれらについてよく学んでいきたい、こう考えております。 救急救命士の養成の件でございますが、自治省消防庁におきましては、救急隊一隊当たり常時一人の救急救命士を配置させることを基本といたしまして、十年以内に養成を完了させる方針をとっております。私どもといたしましても、御質問にありましたように、年に二人とか三人ではなかなか足りないんじゃないか、こういう心配はもちろんいたしておるわけでございますが、何しろ始まったばかりでございます。こういう十年以内の計画目標を持っておるわけでございますが、救命士を養成する機関といたしまして、救急振興財団が設立されまして、その教育研修施設、救急救命中央研修所におきまして、平成三年度から六十人の枠で研修が始まったわけでございます。この研修人員は、年次的に次第に増員されてまいりまして、平成七年度以降になりますと、八百名の養成計画と、こうなってまいりますので、県内の救急救命士の養成も六年ごろから年に十名とか二十名とか増員できていくんじゃないかと思っておりまして、できるだけ十年以内に達成していきたい、こういう見通しを持っておるわけでございます。県としましては、この中央研修所に救急隊員を継続的に派遣して、県内の五十六の救急隊に必要な救急救命士の養成に努力していく考えでございます。 なお、早くに必要人員を養成確保するためには、この中央研修所だけでは限度がありますので、それ以外の養成機関でも研修が受けられる体制がぜひ整備してもらいたい、こういうことを国に対して強く要請してまいりたいと思います。 次に、本県にもこの研修所を設立してはどうかということでございますが、養成機関といたしましては、この救急振興財団の中央研修所のほかに、東京都でございますとか、大阪市などの消防学校の四校、更に私立の専門学校二校が厚生大臣の指定を受けまして開設されております。平成七年度には更に財団の関西校の設置が予定されておりますことから、本県といたしましても、全国的なこうした養成機関の設立の推移、あるいは救急救命士養成の需要などを見きわめながら、国に対しても研修所の誘致など要請していけるかどうか検討してまいりたい、このように思っております。誘致ができれば、非常にそれはよろしいんじゃないかな、このように思っておりますが、国の考え方がどうであるかということもやはり検討してみなければいけないと思います。 次に、県立病院に救急救命センターを併設してはどうかとの御提言でありますが、御承知のように、救急救命センターはおおむね人口百万人に一カ所というのが現在の国の設置基準でありまして、本県では国立仙台病院とこのほどできました仙台市立病院の二カ所が指定を受けておるわけでございます。しかし、県といたしましては、地域的な均衡とこれらの機能を補完するために、少しでも前進したいということで、古川が整備する高次救急医療施設に係るいろんな予算措置を行って、バックアップしておるところでございます。 御質問の県立病院における救急医療への対応についてでございますが、瀬峰病院の性格は、御承知のように、主として循環器とそれから呼吸器系の疾患の専門病院なんですね。ですから、そういう立場から救急業務に携わっていくということが望ましいと考えておるわけでございまして、地元の医師会ともやはり協力関係がございますので、協議した上で、循環器の疾患を中心にしまして、二次の救急医療について目下二十四時間体制で対応しておるわけでございます。このような面から、救急についても役割を果たしてもらっているということでございます。 なお、まだ仮称でありますが、がんセンターの救急医療につきましては、目下建設中でございますが、これもやはりがんの専門病院という性格もございますので、開院してみてから診察状況を見守って、その専門分野で役割を担えるかどうかというようなことを検討いたさせていきたい、このように思います。 次に、防災ヘリコプターの運航につきましては、御案内のとおり、消防防災体制の充実強化を重点といたしますほか、救急救命活動のための運用を図ってまいることといたしておりますが、御質問の山岳等の事故あるいは遭難、労働災害、こうしたものにおける救急患者の取り扱いにつきましては、やはり防災航空隊員の実地教育訓練などを積み重ねることによりまして、速やかに対応できる体制を進めてまいりたい、このように考えております。 更に、お医者さんも一緒に乗り込むということについては、現在広島県におきまして、先日もお答えいたしましたが、消防ヘリコプター救急搬送試験事業をテストケースでやっておりますので、この結果を参考にしながら、本県の場合はどうやったらいいか、こうした医師搭乗を含むその体制の問題について今後研究さしていただきまして、関係機関と協議を進めていきたい、このように思っております。 なお、救急隊員の搭乗というものは、できるだけ高度な救急課程を修了した者を防災航空隊に配置いたしまして、対応することにいたしております。 また、臨時ヘリポートの問題ですが、訓練でありますとか、行政用務のために必要な箇所を目下調査いたしておりまして、大体五十カ所程度ぐらい確保したいと目下考えておりますけれども、航空法上の許可が必要でございます。したがって、そういう手続の関係から一挙に五十カ所というわけにはまいりませんので、段階的に整備していきたいと思っておりまして、本年四月の運航開始時までには少なくとも各広域圏ごとに一カ所程度はまず確保していきたいと思っております。 なお、救急・救助等の緊急時のときですね。例えば、離島の問題でありますとか、そういう事態が起きた場合には、許可を得たヘリポート以外でも、つまり許可がない場合でもパイロットの判断によりまして、安全が確認できる場所に離着陸することが可能でございますので、そういうような配慮もする必要があると考えております。 次に、病院などの屋上にヘリポートをつくるべきではないかということでございますが、もっともな御意見だと考えております。現在、救急救命センターに指定されている国立の仙台病院でありますとか、あるいは仙台市立病院でありますとか、本当は望ましいわけですが、ヘリポートは目下ありませんので、設置されておりませんので、これからじゃどうつくっていくかということを考えましても、建物の構造の関係から急には難しいと思われておるわけです。したがって、今後改築の計画などがある場合にやはり御提言の趣旨を踏まえて、できるだけ設置していくように働きかけてまいりたいと思いますが、当面はその病院の近くで、ヘリコプターが有効に機能できるような、例えばグラウンドでありますとか、あるいは河川敷などでありますとか、こういうところを使った臨時的なヘリポートが活用できないかということで、関係機関ととりあえず協議して検討していきたいと思います。 女性対策についてのお尋ねにお答えいたしたいと思いますが、本県の女性に関する施策については、平成二年三月に策定いたしましたみやぎ婦人施策推進基本計画に基づきまして、いろいろな事業を展開いたしておりますが、それらの事業の総合調整を図っていかなければいけないという上からも、更に、生活福祉部の婦人青少年課の婦人対策部門を独立させまして、この四月から女性政策課として発足させることにいたしました。 この女性政策課は、女性対策に関する総合的な政策の企画の立案、あるいはみやぎ婦人施策推進基本計画に基づいて、いろんな施策を実施していく、あるいはどういうふうにそれを進行させていくか、これを管理する、あるいは女性の地位の向上に関する県民の意識の啓発、それから女性に対する各種の調査活動などを担当することになります。現在、女性に関する施策については、調べてみますと、庁内の約四十に及ぶ関係課がさまざまな観点からいろんな事業を行っておるわけでございますが、新しく発足する女性政策課が中心となりまして、こうした事業の相互の連携でありますとか、総合調整も一層強化をしていく。また、女性の地位の向上でありますとか、男女共同参加型社会の実現に向けて、ぜひ積極的に政策展開をする役割を果たさせたい、このように思っております。 次に、女性の問題に関する相談窓口でありますが、現在、労使間の紛争など、労働問題に関する相談の窓口は、国においては婦人少年室でありますとか労働基準局などがあるわけでございます。県においては、仙台地方県事務所の商工労政部及び各地方県事務所の振興室において取り扱っております。更に、法律問題など専門的知識を要する事柄につきましては、仙台地方県事務所に特別労働相談員として弁護士を配置し、相談に応じているところであります。 女性の問題に関する相談内容については、加速される女性の地域活動あるいは職場への進出、高齢化社会の進展に伴う女性の地位向上にかかわる問題なり、多様な生き方に関した問題など、これからも複雑で、たくさん多くなってくることは予測されるわけでございます。ですから、法律相談についてもこのようなシステムがありますので、これらを御活用いただきたいと思います。 このことから、こうしたいろんな問題が起きてまいりますことから、これまで実施しておりました各所管部門における相談業務の一層の充実を図っていく、あるいは関係機関の密接な連携、こういうものを進めていくために、女性政策課が業務を推進していくわけですが、せっかくできます女性政策課でありますから、そこへ行けば、じゃどこへ行って相談に乗れるか、そういう各種相談にも対応していく必要があるだろうと考えております。したがって、相談窓口の設置についても、今回新設される女性政策課の中で検討いたさせたい、このように思います。 ○議長(亀谷博昭君) 暫時休憩いたします。    午後二時三十八分休憩    ──────────────────────────────    午後三時二十一分再開 ○議長(亀谷博昭君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。十八番高橋俊也君。    〔十八番 高橋俊也君登壇〕 ◆十八番(高橋俊也君) さきに通告をいたしておりました丸森町耕野地区の産業廃棄物最終処分場の件について質問をいたします。 冒頭に、県議会の先生方には、過般処分場設置反対の地域の住民の方々と一緒に、政党・党派を問わず御陳情を申し上げたところ、超党派的に深い御理解をいただき、力強い御支援、頑張れという御激励を賜りましたことをまずもって厚く御礼を申し上げます。先生方だれ一人として、処分場設置に賛成の先生方はいらっしゃらない、そういうふうにかたく信じております。これからも引き続き御支援を賜りまするよう、お願いを申し上げます。 質問に入ります。 去年六月定例会において、私はこの件について質問をいたしました。当時はまだ産廃処理場の竣工検査も行われておらず、もちろん営業許可も出ておりませんでした。でありますから、私は過去の経緯を述べ、住民の声を伝え、問題点を指摘し、猛省を促し、営業許可を与えないように慎重を期してもらいたい旨強く訴えたのであります。ところが、残念ながら、去年十二月年末休暇に入る直前に営業許可がおりました。 申し上げるまでもなく、この地域は、御案内のとおり、風土、伝統を大切にし、豊かな自然条件のもと、美しく、質の高い、快適で住みよい地域環境づくりに取り組んでおる地であります。そして、水と緑の輝く町、観光の地でもあり、酪農と養蚕は、今なお県下一であります。真っ白なものを生産しているのであります。「ミルクとシルクのまち」を標榜している地域であります。今回仮処分とはいえ、この地を神は守ってくれました。住民が勝利をいたしました。平成四年二月二十八日、仮処分とはいえ、歴史的で画期的な裁判の結果が出たのであります。何にも増して地元住民の人格権を保護してくれました。 そもそもこの処分場建設に当たっては、問題点をたくさん抱えたまま、一方的に県は住民の同意を得ないままに進めたことが大きな要因となり、社会問題となり、全国注視の中で今回の仮処分の結審と相なったのであります。反対住民の勝訴、業者側の敗訴ということであります。裏を返せば、地域住民と県との争いだと言っても過言ではありません。それもそのはず、業者は、県の指導のもとに、その都度許認可をもらい、事を進めたというわけでありましょうから、したがって、県民と知事との争いだと解されても仕方のないところであります。仮処分といえども、今回の結果は、県民が勝って知事が負けたと一般的に見られるのではないかと思うのであります。以下、私は、住民の方々が納得しがたい主な問題点について質問をいたします。 まず、県は、去年の説明会において、──これは営業許可を出す以前の話であります。県は、誠意を持って取り組んできた、業者には、住民の方に計画を説明するように指導してきた、こう言っておりました。ところが、県は、業者から事前の計画を一九八八年十二月には既に受けていましたが、その事実を地元住民には知らされていません。したがって、地元住民が知ったのは、県が設置届を受理する直前の平成二年の八月でした。その間八カ月間、県は、業者との間で協議はしても、地元住民の意向は全く無視していたのであります。もし県が住民に計画を説明するように業者に指導していたとすれば、その時点でも業者は県との約束に違反し、指導には従わなかったということに相なるわけであります。丸森町の処分場設置は望まないという意見書まで絶対反対の意見ではないと考えてしまう県の態度を見る限り、最大限の努力をしたなどというのは、全く理解しにくいことだと思います。いかがなものでしょうか。業者も県も最初に住民との対話の機会をつくる努力が足りなかったのではありませんか。知事は、この点どうとらえ、どう対処してきたのか、改めて伺うものであります。 また、県は、平成二年四月、産業廃棄物処理施設の設置及び維持管理に関する指導要綱を制定したので、それ以前のケースでは、住民の同意は要件には出てこない、こう言っておりますが、耕野地区の産業廃棄物処理場の件について、県は、業者に対し、直接影響を受けるであろう世帯には同意をとってくるようにと指導しています。そして、新聞報道では、このことを業者が県に対し書面で確約したと、こう報じております。設置申請の受理後にこのような指導をしたという点は問題があるにしても、許可処分の条件なのですから、業者がこの約束に違反するなら、県としては、この条件違反を問題にして、不許可にすることも十分可能でなかったかと、こう思うのであります。 更に、県は、地質調査の結果、この処分場に捨てられるものが建設廃材など安定五品目に限られているので問題はないとして、住民の飲料水となる沢水や地下水などには汚染される心配はないと説明しておりますが、その時点でも、県は、地質調査の結果についても、地元住民が最も知りたい資料を提示せず、あくまでも概要しか公表しようとしませんでした。その結果でも、処理場の地下は非常に浸透性の強い地盤であることが明らかになっておりまするし、有害物質が溶ければ、地下水や沢水に直接影響が出てくることは、我々素人でも常識的に考えるのは当然であります。と同時に、捨てられる廃材には、さまざまな化学的物質が利用されており、その中には極めて多くの有害物質も当然含まれているのが現実であります。したがって、この急速に発展してきた日本の鉱工業社会の現実を無視した議論を前提にする県の産廃行政はいかがなものかと思うのであります。 また、県は、この地質調査の結果で、処分場の擁壁が安定しており、崩れる心配はないと、そう述べていましたが、これについては、この道の権威であります東北大の中川先生も明確に指摘しているように、この処分場の堰堤に使われている赤土は、もろい風化物であるとはっきりと言っておるのであります。現地に行って手で拾い上げて現実に試してみれば、すぐわかることであります。現に堰堤をつくった直後に雨で崩れましたし、その後の調整池の土手も平成三年十月十三日の大雨でもろくも崩れてしまいました。このことについても、果たして信頼できる調査であったのかどうか、県の主張の論拠、事実そのものも崩れ去っているのではないかと思います。 また、県は、許可する前に、営業を認めない法的根拠はないと述べています。そうであったのでしょうか。まず、第一に、営業不許可にする法的根拠がないということでありますが、許可のためには、環境条件などの整備をさせることもできまするし、業者は県に対し、搬入道路の幅員を拡張するなどの約束をしながら、その約束を守っていません。事実不可能な状況にあります。また、前に述べましたように、沢水、地下水で直接被害を受ける世帯の同意も得ていないのでありますから、我々素人判断でも不許可事由が成立したわけであります。業者が県に対して約束したことを守らない以上、不許可とすればよかったわけでありますが、許可した理由について問うものであります。 業者が許可を早く出せと要求するならば、県は業者に対し、約束どおり道路拡張のために住民の同意を得てから来るように、そういうふうに指導すれば済むことであり、道路幅が二メーターのままでは危険であり、道路保全上も問題であり、許可はできませんと、毅然たる態度で臨んでほしかったのであります。このことについていかがお考えであったか、お伺いをいたします。行政として、住民自治の立場でしっかりと現実を見きわめ、行動してほしかったのであります。 次に、今回の廃棄物処理場の仮処分申請に対する裁判所の決定に対し県の所見を伺うものであります。 今回の裁判で特徴的なものは、住民の人格権を主張しての勝利であります。余り平常会話に出てこない言葉でありますので、私も判決文を読んでみました。判決文の中の人格権とは、すべての権利が侵害から保護されることを規定し、保護される権利には、財産権のみならず、身体、自由、名誉が含まれていることを規定し、これらの規定は、すべての人が人格を有し、これに基づいて生存し、生活をしていく上で、さまざまな人格的利益を有することを前提に、民法が単に財産権だけでなく、このようなさまざまな人格的利益をも保護しようとしていることを鮮明にしている趣旨と解されます。したがって、このような人格に基づき、生存し、生活をしていく上でのさまざまな人格的利益の帰属を内容とする権利を包括的に人格権と呼び、そして、その人格権は民法を実定法上の根拠として具体的権利と認められるものと解されております。今までこのような人格権についての判例もあります。 その第一は、昭和六十二年七月の東京高裁判決であります。人格は、人の生活のすべての面で法律上の保護を受けるべきであるから、民法に明示されている人格権としての身体権、自由権、名誉権は、人格権の内容の例示と理解するのが相当であって、それぞれの生活の場面に応じてそれに相応して人格権の一種として認められるものと解されると判決をされています。 また、第二の例は、このような人格権を侵害された者は、民法により損害賠償請求をなすことができるとともに、物権の場合と同様に、排他性のあらわれとして、現に行われている侵害行動を排除し、又は将来生ずべき侵害を予防するため、侵害行為の差しとめを求めることができると解するのが相当であると判決されております。 この人格権を耕野地区の産廃処理場に係る件に照らしてみると、人は、まず生存していくのに、飲用水の確保が不可欠であり、かつ確保した水が健康を損なうようなものであれば、これも生命あるいは身体の安全を害するから、人格権としての身体権の一環として質、量ともに、生存、健康を損なうことのない飲料水を確保する権利があると、こういうふうに解されます。また、洗濯、ふろ、その他多くの場面で必要とされる生活用水に充当すべき適切な質、量の水を確保できない場合は、客観的には、飲用、生活用水に適した質である水を確保できたとしても、それが一般通常人の感覚に照らして精神的苦痛を味わうだけでなく、平穏な生活をも営むことができなくなると言うべきである。したがって、人格権の一種としての平穏生活権の一環として適切な質、量の生活用水、一般通常人の感覚に照らして、飲用、生活用に供するものを適当とする水を確保する権利があると、こういうふうに解されております。そして、その権利が将来侵害されるべき事態に置かれた者、すなわち、このような侵害が生ずる高度の蓋然性のある事態に置かれた者は、侵害行為に及ぶ相手に対して、将来生ずべき侵害行為を予防するために、事前に侵害行為差しとめを請求する権利がある云々と、こういう判決が下ったのであります。 つまり、処理場が営業すれば、周辺住民が利用をしている飲用水や生活用水に重大な影響を及ぼしますよ。今使っている水を守る権利がありますよ。そして、将来ともこの周辺地域には水道、簡易水道を含め、地元自治体である丸森町でも布設計画を持っていませんよ。したがって、今後も地域住民は、飲用、生活用水をこの地の井戸水や沢水から得るしかないですよ。そういうことであります。いわゆる産業廃棄物処分は一定程度の公共性を持っておりますが、その公共性よりも、人格権、つまり身体権の保護を優先をしたわけであります。この判決について、知事の所見を伺います。 特に、県が県民の税金を使って独自の調査を行い、その調査結果によって営業許可を与えたのであります。これに対し、司法はノーであります。業者のみならず、行政の安易な対応に警鐘を鳴らした決定ではありませんか。重ねて所見を伺います。 また、地質調査において、県が委託した業者の調査結果と住民が依頼して調査をした地質学の第一人者と言われておる東北大の中川先生、京都大の中川先生の調査結果とには幾つかの相違点が見られますが、この件についての見解をも問うものであります。 次に、県の産業廃棄物処理施設に関する指導要綱から見た問題点について質問をいたします。 この要綱は、第一条から第二十六条までから成り、平成二年四月一日から施行されています。したがって、耕野地区の処理場の許可申請は平成三年四月一日でありますから、当然この指導要綱を守らせるべきであり、守ってもらわなければなりません。要綱第七条に立地基準の遵守事項があり、それによると、最終処分場は、立地環境として、河川、水路、湖沼等、及び地下水の汚濁による生活環境へのおそれがないこと、これは要綱二十九ページに載っております。上水道、簡易水道等、水源への影響のおそれがないこと、このことについて十分留意すること、こうなっております。また、本条に、地下水の汚濁による生活環境へのおそれがないことと、明確に規定されています。これを耕野処分場についてはクリアしていますか。指導要綱に合致していますか。私は、そうは思いません。つまり業者は県の指導要綱を守っていないことは明白であります。 次に、立地条件として、要綱には、最終処分場に係る土地までの搬入道路の管理者──国道、県道、市町村道等を除く──から、産業廃棄物の運搬に伴う車両の通行について承諾が得られること──これも三十五ページに載っております──となっており、原則として、敷地からおおむね五百メーター以内の居住者の三分の二以上の承諾を得ること。処理に伴う排水がある場合は、原則として、放流地点から下流おおむね五百メーター以内の利水権者及び水路等の管理者の全員の承諾を得ること。原則として搬入道路からおおむね三十メーター地内以内の居住者の四分の三以上の地域住民の承諾を得ることとなっております。この点についても、だれ一人として周辺住民の方は承諾はしていません。これも要綱に合致していません。更に、最終処分場に係る土地までの搬入道路の条件として、道路幅員は大型車両の通行に支障がないよう確保できること、これも三十五ページにあります。これも要綱に合致していません。特に道路の幅員については、業者が強引に処分場建設を開始したので、住民は、幅員二メートルの境界にブロック塀を構築し、抵抗をいたしました。業者は、仙台地裁にブロック塀の撤去を求める仮処分を申請し、仙台地裁は平成二年九月に申請を却下し、住民の主張が認められておるのであります。したがって、搬入道路の幅員は、大型車両の通行は不可能であります。更に、要綱には、その他必要に応じて関係機関の指導を受け、使用道路の選定、拡幅若しくは補修及び安全施設の整備を行うことと、こうなっておりますが、これも不可能に近い状況であるのであります。更に、要綱には、事業者は、地域住民と生活環境の保全に関する協定を締結するよう努力しなければならない。更に、事業者は、地域住民等に説明会を開き、その理解を得るようにしなければならない──これは、三ページに載っております──とありますが、ただの一回の説明会も開いていませんし、何の協定も結んでいません。 以上が、県当局、あなたがたが業者に対し必要最小限これだけは守ってくださいよということでおつくりになった要綱であるのに、業者に対し指導徹底ができていない。守られていない。一体何のための指導要綱なのでしょうか。その点についても所見を問うものであります。 以上、数々の問題点を指摘いたしました。今回の裁判の結果で重要視されたのは、水です。水の問題で住民の人格権が認められたことにより、立地環境、地下水、水源への影響がはっきりと示されたのでありますから、知事として、廃止勧告あるいは許可処分の取り消しを行うべきではないかと私は考えます。これについてもお伺いをいたします。 今後は正式な裁判になるわけであります。法廷の場で住民と業者が争うわけでありますが、この場合でも、操業禁止を認めた仮処分決定が有効で、生きておるわけでありますから、処分場の使用が凍結されたため、事実上営業は不可能となったのであります。知事は、記者会見で、法律に従って判断しなければならない立場にあり、県としての責任もある、こう述べておられますし、これまでの主張どおり、適法性を強調しておられました。いずれにしても、前に述べましたように、争いは、住民と業者でありますが、住民と県との争いでもあり、住民と知事との争いでもあると言っても過言ではありません。地元住民を初め県民のとらえ方は、極めて複雑な心境であります。特にこの地の方々の多くが知事に大きな信頼と期待を込めて選んだ知事でありますから、なおさらのことであります。特に知事の体の血には、伊具の血が半分流れています。角田、丸森は特に知事のおじさん、おばさん、親戚がたくさん住んでおられます。そして、担当保環次長、私と高校時代一緒のクラスで勉強した大事なクラスメートの一人であります。また、産廃対策室長は丸森町出身で、私の高校の後輩であります。環境保全課長も丸森であります。こんな中、私は住民の代表として、すべての私情を捨て、質問をしているのであります。この複雑な心境を御理解をしていただきたいのであります。知事、住民の立場に立って今後の解決に対処されますよう、強く要望するものであります。 最近の情報によりますと、この業者においては大変な経済的苦境に立っているようであります。調査によれば、処分場の土地に平成三年一年間に数億円の抵当権が設定されていますので、経営上の窮迫があることは事実のようであります。問題は、田や畑に被害をこうむるという財政的な心配だけではなく、飲料水の汚染という生命に直接危害が及ぶという事実なのであります。取り返しがつかない事態が確実に起きてくることが予測されていることに対し、県は、被害が出たら保険などをかけてその補償が可能だと述べていますが、倒産必至の業者の保険とは一体何なのでありましょう。この業者が夜逃げなどしてしまったら、だれが責任を負うのか。やはりここでも県の補償が当然要求されることになるでありましょう。業者の経営体質から発する口先の補償に乗るほど、住民は甘くないと思うのであります。産業廃棄物にしろ、生活上のごみは私たちも当然出しまするし、処分場はどこかにつくらなければなりません。この必要性はだれしもが認めていることで、耕野地区住民の方々も十分知っています。しかし、問題は、この地域住民が飲料水の水源としている山の頂上になぜ建設を許したのかという具体的な問題なのであります。蛇口をひねれば水が出てくる都会に住んでいる人たち、特に行政に携わる方々が反対住民をしてエゴだと非難するなどは、余りにも現地の生活実態を知らな過ぎるという事実に、私はもっと真剣に目を向けていく必要があると思うのであります。そして、白紙撤回を求めて三年間頑張り抜いた地区住民の方々は、決してエゴでないということを理解してやらねばなりません。住民の方々には、より強固な団結心を持って、これからも長い長い熱い闘いが、白紙撤回を求めて頑張っていくことを住民大会を開いて決議をしていますことを申し添えて、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 ○議長(亀谷博昭君) 知事本間俊太郎君。    〔知事 本間俊太郎君登壇〕 ◎知事(本間俊太郎君) お答えをいたします。 高橋議員の住民の皆さんを思う心情は、よく理解できるわけでございます。私といたしましても、できるだけ住民の皆さんの悩みを悩みとして、いろいろな宮城県づくりをやっていきたい。しかし一方で、行政の執行者といたしましても法律を重視していかなければならない。この両者の調和を図っていかなければならないわけでございまして、真剣かつ慎重に取り組んでおるつもりでございます。 丸森町内の産業廃棄物最終処分場につきましては、まず第一点は、今回の計画の最初の段階で県としても地元の皆さんとの対話の機会をもっとつくる努力が必要だったのではないか、こういう御指摘でございますが、一般的には、事業者から計画を進める上での法令上の手続や書式、関係法令による規制など、特に注意すべき点について相談があれば、それによりまして事業者が計画を具体化していくのが通常であって、我々としては相談に応じなければならないわけでございます。相談があったからといって計画が固まったわけではないわけでございます。事業者には、計画が具体化した段階で、まず町なり周辺住民の理解を得るように従前から指導いたしてまいったわけでございます。 本件処分場につきましても、事業者において、事業計画が固まった段階で丸森町当局やあるいは周辺地域住民に事業計画の説明を行った旨聞いておるわけでございます。その後、住民の皆さんの反対運動が起きました後、住民と事業者との話し合いができない不可能な状態になりましたことから、私ども県といたしましては、丸森町とともに立ち会いをいたしまして、事業者の説明の場を現地で計画いたしたわけでありますが、住民の方々が出席を拒否されたことによりまして流会となったことは残念であったわけでございます。本来地域住民と事業者の話し合いの中で問題が解決されていくということが最も望ましいわけでございますけれども、県といたしましても、再三再四話し合いの場の設定に努力をいたしたわけでございますが、なかなかテーブルについていただけなかったわけでございまして、結局のところ、話し合いができないままに今日に至ったわけでございまして、まことに残念だと思っておるわけでございます。 次に、地元の同意や搬入道路の問題などを理由といたしまして営業許可の申請を不許可にできたのではないかと、こういうお話でありますが、既に御理解いただいておりますとおり、今回の処分場の問題につきましては、決して単に形式的な法律論を当てはめているものではありません。今まで幾度か地元の皆様にも御説明いたしましたとおり、産業廃棄物処理業の営業許可の処分は、地元住民の皆さんの生活環境をいかにして保全していくか、そういうためのもろもろの行政上の調整でありますと同時に、一方では、営業の自由に係る問題であるという面もございまして、この意味では、法律が明文において掲げる事由によらずに不許可にするということは許されないものであります。 なお、地元の方々が不安を抱いておりました処分場の土砂崩れにつきましては、県が実施した調査の結果、堰堤全体が崩れるようなことはないと判断しておるわけでありますし、埋め立てられる廃棄物への不安につきましても、単に安定五品目というにとどまらず、廃棄物の種別を確認できるマニフェスト方式の採用、更に、具体的な廃棄物の形状に限定を加えるなど、地元住民の皆さんの生活環境の保全に最大限の配慮をいたしておりますことを御理解願いたいと、このように思うわけであります。 また、先般の仙台地方裁判所における仮処分の決定についての所見はどうかということでございますが、まだ裁判の途中段階の判断でございまして、今後本案審理の手続が進められる見込みでありますので、現時点でその内容につきまして行政の立場からコメントするのは差し控えたい、このように存じます。ただ、現在の廃棄物の処理及び清掃に関する法律では、法令の定める基準に従って廃棄物処理施設の設置運営がなされる限り、生活環境に影響を及ぼさない、こういう考え方が法律上、とられておるわけであります。なお、県といたしましては、地元の方々の不安にこたえて、地質など各種の調査を実施し、事業者に対して慎重に指導してきたところであります。 井戸水は、現状においても飲用不適でありまして、安全な飲料水を確保する責任というものは行政が負うべきでありますので、町当局に対しまして水道の布設を急ぐよう指導いたしておりますし、今後もその必要があろうかと、このように考えております。 県が本件処分場の設置に関連して実施いたしました地質調査につきましては、地元の方々が処分場の土砂崩れ等の問題について強い不安を抱いておりましたので、県としての判断資料とするため独自に専門機関に委託し、調査いたしたものであり、その結果については信頼できる内容であると考えております。御質問の東北大学等々の先生方の調査内容につきましては、それぞれの御専門の立場からの見解と思いますけれども、県は裁判の直接の当事者ではありませんので、今の段階ではこれについて論ずることは差し控えたいと、このように思います。 次に、指導要綱の適用の問題につきましては、御承知のように、平成二年四月から現在の指導要綱が施行されておりますので、それ以前に設置届が出された本件処分場に対しましては、たとえ営業許可申請が要綱施行後でありましても、指導要綱に定める施設の立地基準等をストレートに適用するわけにはまいらないものであります。今後この問題を参考にいたしまして、この指導要綱を今後適用していく、こういう考えでおるわけでございます。今後起きるような問題について適用していかなければならないと、こう考えております。しかし、県といたしましては、先ほども申しましたが、関係住民の方々の生活環境上のさまざまの不安、懸念を十分踏まえまして、事業者の申請内容を慎重に検討し、また必要な指導を行った結果、法令に定める要件は満たされ、生活環境の維持、確保はできるとの判断のもとに許可をいたしたものでありますので、御理解を願いたいと存じます。また、県は、許可処分の取り消しなどを行うべきではないか、こういう件につきましては、先ほども申し上げましたが、今回の仙台地裁の決定はまだ裁判の途中段階での判断でありまして、また県の許可処分自体の是非について触れているわけでもございませんので、県の立場を変える必要は今のところないと考えております。県といたしましては、この処分場の問題につきましては、従来より廃棄物の処理及び清掃に関する法律のもとで、関係住民の生活環境の保全に最大限の配慮をいたしてまいったところでありまして、今後とも住民の皆さんの気持ちに対しましても十分考えながら対応してまいりたいと、このように思うわけでございます。 ○議長(亀谷博昭君) 十八番。 ◆十八番(高橋俊也君) ただいまの答弁では、いろんな経緯から判断して、県としては適法だと、そういうふうな判断のようであります。しかし、住民の実態は、私が訴えたような現況であります。そうしますと、これは、長い時間の数年を要する、判決が出てくるまでは時間がかかるわけでございます。そうしますと、このままの状況で、知事は慎重にこれを見守ると、そういうことだけでは逃げてはいかれないんではないかなと、こんなふうに感じます。やっぱりこの判決は判決としてきちっと受けとめなければならぬ、そういうふうに思うのであります。もう一回、今から三年も四年もかかったとするならば、地元住民は、どういうふうにとらえて、毎日不安な生活を送らなければなりません。きょうも後ろに実際被害をうける住民の方々がたくさん来ております。納得のいくような説明をもう一回お願いします。 ○議長(亀谷博昭君) 知事本間俊太郎君。    〔知事 本間俊太郎君登壇〕 ◎知事(本間俊太郎君) お答えいたします。 住民の皆さんの不安というものも私どももよく理解できるわけでございますが、先般仙台地方裁におきまして仮処分の決定が出たわけでございますが、やはりこれは裁判ということから考えますと、まだ途中段階でございますので、今後やはり本案審理の手続が進められていく見通しでございますので、現時点ではこれを見守っていかなければならないというのが私ども行政の立場でございます。 なお、いろいろな問題につきましても、私どもとしても相談に応じながら、この成り行きというものをやはり法に従って対応していかざるを得ない、これが私どもの立場でございます。 ○議長(亀谷博昭君) 二十四番佐々木ひろし君。    〔二十四番 佐々木ひろし君登壇〕 ◆二十四番(佐々木ひろし君) お許しをいただきましたので、さきに通告申し上げておりました極めて今日的課題であり、緊要を要する三つの点についてお尋ねをいたしますので、知事の真摯にして県民の期待にこたえ得る答弁をお願い申し上げます。 初めに、市町村への支援策についてお尋ねをいたします。 今臨時行政改革推進審議会の豊かな暮らし部会報告にもあるように、地域本位の行政の確立が求められているところであります。そのためには、東京一極集中の是正であり、地域の活性化、自立化が必要です。地域の活性化、自立化とは、魅力ある地域づくりであり、地域や生活に密着した行政に関しては、現在の国・地方間の事務分担を見直し、地方への権限の移管、財政の自主性の拡大を可能な限り進め、地域において総合的な行政の推進が可能となるように努力しなければなりません。一般財源化による補助金の見直しもその一つであります。補助金行政は、補助要綱によって全国どこでも画一的に同じようなものができ、地域の個性や創意が生かされないということがこれまでもたびたび指摘されてきました。その反省の上に立っていると思いますが、町づくりのさまざまな取り組みを推進するため、地方公共団体が自立自助と連帯の意識のもとに、地域の実情に即して地方単独事業を効率的に実施し、個性的で魅力ある町づくり、地域づくりを積極的に推進できるようにという趣旨で、自治省では、昭和五十九年から町づくり特別対策事業をスタートさせました。これは地域総合整備債による起債を認め、特別事業と認定したものに対して、その還元償還金については、当該自治体の財政力に応じて三〇%から五五%地方交付税措置を講ずるものです。その後、この仕組みによる地域づくり関連施策が次々に生まれ、例えば地域づくり推進事業、リーディング・プロジェクト、ふるさと市町村圏・商店街等振興整備特別事業、地域福祉推進特別事業など、さまざまな分野での事業実施が可能となってきました。平成四年度の国の予算案においても、この地域総合整備債は、大幅に増額されたと聞いております。したがいまして、この制度を活用すれば、文化会館、図書館、スポーツ施設、福祉施設、公園、町並み整備、またこれらを組み合わせた複合施設の建設も可能となり、町づくりに関連するものであれば、各自治体の創意と工夫で計画した事業が実施できます。私も二、三の市町村に聞いてみましたが、これまでの補助金をもらう場合、補助要綱にのっとり、膨大な資料と申請書類をつくる必要があったわけですが、この地域総合整備債関連の施策は、あまり制約もなく、自治体の創意と工夫が生かされ、補助金申請のようなエネルギーを費やさなくてもよいということでした。本県においても、かなりこの制度を活用した施策が展開されていると思いますが、まずその状況についてお伺いいたします。 これを別の角度から見ますと、それぞれ個別の施設づくりについては、文部省を初め各省庁の補助金事業と重複することになります。例えば、ある市町村が高齢化社会に向けてデイサービスセンターを建設しようとするとき、厚生省の補助事業で実施する場合、国の二分の一の補助に加え、県からも四分の一の補助が認められるようになっています。一方地域総合整備債で実施しますと、国の交付税措置は認められますが、県の助成措置は全くありません。各自治体としては、補助金で、つまり補助要綱どおり実施すべきか、あるいは複合施設など補助要綱に縛られることなく、地域の実情に合った施設づくりを目指すために、あえて地域総合整備債を活用して実施することを検討することになります。そこで、県の支援を受けられるかどうかも大きな判断材料になるわけです。個性的で自立的な地域づくりを推進するために、県としても地域総合整備債で実施する事業に対する助成制度を設ける必要があると思いますが、知事はどのようにお考えでしょうか。確かに県の助成制度の中には、活力のある地域づくり推進事業のように、地域総合整備事業にも適用できる制度もあり、多くの市町村でこれを活用しているようです。しかし、この制度は、地域の特性、資源等を最大限に活用した個性的で魅力ある地域づくりを初めとする地域発展に資する基幹的プロジェクトを促進し、もって活力のある地域づくり、県土づくりを積極的に推進するという制約があり、なかなか難しい状況にあります。この制度をより広範囲に認めるか、あるいは新たな助成制度を設けるかを検討してみてはいかがでしょうか。お考えをお聞かせください。 次に、県では、各地域が自主的に地域づくり活動を展開するための一助として、市町村に対し、地域づくりに関する知識や経験を有する者を、地域づくりアドバイザーとして派遣し、所要の助言を行う地域づくりバックアップ事業を行っています。そのアドバイスによって決まった事業について、県はどのような支援策を講じようとしているのでしょうか。恐らく現行制度では、活力のある地域づくり推進事業で支援するということになろうと思います。しかし、これも先ほどの制約があるとともに、一度ある事業でこの適用を受けた市町村に対しては、二度目は適用しないという方針であると聞いています。阻害する要因は何なのか、考え直す気持ちはないでしょうか、お尋ねをいたします。 いずれにしましても、各市町村は、創意と工夫による地域づくりによる競争が激しくなり、またそのことによって県全体のレベルアップが図られるものと思います。その意味でも、県は市町村への地域づくり事業がどんどん行われるように支援すべきと思います。知事の御所見をお伺いいたします。 次に、宮城いきいき長寿二〇〇〇プランについてお尋ねをいたします。 急激な勢いで進む高齢化社会対策として、福祉施設、とりわけ要重介護老人用の特別養護老人ホームなどの増設を急がなければなりません。現状では、六十五歳以上の高齢者一%程度しか入所することができず、病院への社会的入院や家族に過度の負担をかけて在宅介護を受けており、早急に老人保健施設や、より住宅的でノーマルな介護施設を拡充することが求められています。政府は、高齢者保健福祉推進十か年戦略で二〇〇〇年までに、待つことなく、いつでも利用できるような施設サービスを目指し、高齢者福祉施設の大幅な充実を図るとして、特別養護老人ホームを二十四万床、老人保健施設を二十八万床、ケアハウスを十万床などの整備を目指すとしていますが、二〇〇〇年における高齢者二千百三十四万人の五%、百七万人、高齢化の頂点二〇二〇年における高齢者の三千百八十八万人の六%、百九十万人程度が特別養護老人ホーム又は老人保健施設などに居住できるための施設の整備が必要と推定されており、まだまだ要介護老人の数から見て少な過ぎ、より早い速度で計画的に質量ともに増設を急ぐことが求められております。 こういう中にあって、県は先月二十四日、国の高齢者保健福祉推進十か年戦略を踏まえて、県独自の十カ年戦略、宮城いきいき長寿二〇〇〇プランを発表されました。私がさきの県議会本会議で御指摘している部分も十分に配慮されていることに感謝を申し上げます。更に細部にわたって提言と質問を、福祉施設と運営の面からいたします。 施設建設に当たっては、小規模でかつプライバシーの確立した構造にすることであり、寝かせきり老人をつくらない通常の生活時間を持つ介護施設とすべきと思いますが、いかがでしょうか。施設は、入所者が家族や地域の人々と交流ができるように小規模分散化とし、中学校区に一つ程度の福祉センターとして、機能を持つ特別養護老人ホーム、老人保健施設などを設置してみてはどうでしょうか。住民に身近な市町村が生活圏尊重の視点から、保健、医療、福祉サービスを総合した福祉施設を目指すべきと考えますが、いかがでしょうか。利用者負担については、格差、不平等を引き起こさないように配慮すべきと思いますが、どうお考えでしょうか。利用手続窓口は、市町村への一元化を図るとともに、利用者の選択権を尊重し、行政、利用者、住民の直接参加による運営としてみてはどうでしょうか。増設に当たっては、子供と高齢者の結びつきを重視するとともに、今後児童が相対的に減少していく傾向にあることも考慮して、保育所、幼稚園、小学校、中学校などの用地、建物の一部を転用又は併設することも検討すべき課題と思いますが、いかがでしょうか。 高齢者の介護を家族に依存する日本型福祉社会は、担い手であった女性の社会進出などにより、ますます困難になっており、高齢者介護は、社会全体の責任で対応していくべき課題ともなっています。こうした現状から、現在介護を必要とする寝たきり高齢者などは約百八万人いると言われております。これが二〇〇〇年には約百八十七万人、ピークのときの二〇二〇年には二百八十一万人に達すると推定されています。そのためにも介護サービス制度の確立が急務と思います。 そこで、介護サービスの質と量におけるナショナルミニマムを定め、この生存権を保障する介護サービスの基礎部分は、国の法的、財政的裏づけのもとに、市町村の必須事務とし、県がこれを援助、補充することが大切かと思いますが、いかがお考えですかお尋ねをいたします。 ホームヘルプなどの介護のマンパワーについては、十分な機動性、総合性の高度な専門性を兼ね備えたフルタイムの正規職員を配置し、更にこれを補充する短時間職員を正職員として身分を保障し、必要なだけ確保しておくことが必要と思いますが、お考えをお聞かせください。 介護サービスの基礎部分は、専門的職員と短時間職員が一対一の比率で対応し、より以上の介護サービスについては、短時間職員や福祉公社などの、いわゆる参加型在宅福祉サービス及びボランティア活動によって対応できるよう各種の基盤整備をする必要があると思いますが、どのような計画があるのかお聞かせください。 マンパワーの質を向上させるため、現行の家庭奉仕員講習会を義務化し、介護福祉士、社会福祉士の資格取得に、単位認定制などによる移行措置を導入して、現在の従事者の多くを専門的中核介護従事者へと育成すべきと思いますが、お尋ねいたします。 県と中央の段階に介護サービスについての不服審査機関を設置し、利用者、従事者の公益代表で構成し、利用者保護に配慮すべきと思いますが、お考えをお聞かせ願います。 市町村に介護サービス・オンブズマン制度を義務化するとともに、社会福祉職員に施設・在宅・シルバーの介護サービスに対する立ち入り調査権を付与する制度を設けてみてはどうでしょうか、お尋ねいたします。 最後に、市町村の高齢者保健福祉計画策定と措置権移譲に伴う市町村の対応についてお伺いいたします。 市町村においても、高齢者保健福祉計画策定が義務づけられました。そのために県としてのかかわりはどうなっていくのでしょうか。モデル案を示すとも伺っていますが、県としてどう指導されていくのか、お尋ねいたします。モデル案には拘束力があるのでしょうか。仮にあるとしますと、県下七十一自治体が画一的に陥らないように配慮し、地域性が生かされ、住民参加が十分に行われますよう御指導を願うものですが、方針とお考えをお示しください。 措置権移譲に伴い、市町村福祉は業務量が増大して、職場の規律や仕事の煩雑から大変な実態となっていくことが予見されます。職員の増員を含めて、どのように措置していくのか、定数緩和に向けてどう対応するのかをお伺いいたします。 最後に、農業問題についてでありますが、多面的な方策が求められておりますが、私は、その中でも早急に解決を図らなければならない農業団体のあり方について、県の強力な指導性を発揮され、国際競争に勝つ農業、若者が就労しやすい環境づくりを図らなければならないと思います。今日の農業、農村をめぐる情勢は、農業の国際化が進み、貿易自由化の拡大と、輸入農産物の増加などにより、国内農業生産の後退が余儀なくされています。こうした農業を取り巻く情勢の中で、食糧自給率の低下、農業生産の停滞、農業後継者など、担い手不足の深刻化、労働力の高齢化、耕作放棄地の増加など、かつてない厳しい状態にあるのは御存じのとおりであります。一方、農村社会の大きな変化、農協事業の他業態との競争激化など、農協を取り巻く環境変化の中で、組合員や地域住民との結びつきを強化し、組合員や消費者の多様化と高度化するニーズを充足させ、地域農業の振興、農村社会の活性化に主体的に貢献し得る事業機能を備え、農協経営の自己完結機能を確立する必要があると言われております。 このような時期に農協系統組織は、昨年十一月の第三十回県農協大会で、農協を取り巻く厳しい情勢の中で、宮城県農協の生き残り策として、宮城県農協二十一世紀への戦略を決議しております。これは新たな農業観の確立と個性のある地域農業づくりを推進し、農協活動の主体的な取り組みとして、農家が展望を持ち、消費者の理解が得られる地域農業づくりのため、農協の基礎的事業である営農指導事業の体制強化を図り、更に快適で協同のある地域づくりでは、組合員の営農及び生活に関する要望と将来意向に基づき、総合的な農業・農村振興対策に取り組むために、農業・農村振興ビジョンづくりと実行計画の策定を行うとしております。そして、これらのことを進めるためには、自己責任経営体制の確立が必要であり、そのため西暦二〇〇〇年を目標に、現在の農協を十一に広域合併するとしており、あわせて農協の組織、執行体制を整備して、機動性を持たせるとしています。 県農協中央会長は、これらを受けて中央会企画審議会に、中央会、信連、経済連、共済連の役員体制と、役員定数についてを諮問し、去る一月に答申が出されました。それによりますと、来年五月から実施する農協連合会の共通役員制への移行に伴い、各農協選出の理事を大幅に削減することとしております。現在の農協四連の役員は、地区ごとに選出される組織代表、学識経験者等に、中央会の会長と副会長の合計三十五人体制となっているのを、答申案では、組織代表等を十四人減らし、計二十一人体制にするとともに、監事も現行の人数より減らすとしております。この問題の先進県として、長野県、三重県では、大改革が図られ、農家組合員の生活安定、地域経済の活性化にも大きく貢献されているやにお聞きをいたしております。戦後間もない昭和二十三年に、現在の農協法が施行されてから今日まで、幾多の苦難を乗り越えてきた農協が、広域農協合併や組織、執行体制の整備等一大改革に真正面から立ち向かい、強い決意で必死に生き抜こうとしている姿を見るときに、知事はこれに対してどのように対処し、支援していくつもりなのかお伺いをいたします。 また、畜産関係についても、牛肉の自由化、国際化の進展、家畜の生産状況や流通の大型化等、畜産を取り巻く環境の変化に対処し、本県畜産の一層の振興発展を図るため、農協の組織体制の整備とあわせて畜産指導体制の一元化についても前向きに取り組む時期に来ていると考えられます。米の生産価格が低迷して久しいのでありますが、その補完農産物としての畜産事業が円満に運営され、供給市場問題で農家組合員が混乱しないように、畜産団体のあり方が問われています。そこで、知事はこれに対してどのように取り組むつもりなのか、御所見をお伺いいたします。 以上で、私の質問を終わりますが、どうか知事の新・伊達なクニづくりの一助にしていただけますれば幸いでございます。御清聴まことにありがとうございました。 ○議長(亀谷博昭君) 知事本間俊太郎君。    〔知事 本間俊太郎君登壇〕 ◎知事(本間俊太郎君) お答えいたします。 まず地域総合整備事業債制度につきましては、昭和五十九年度に地域の特色を生かした個性的で魅力ある地域づくりを支援するため、交付税措置を伴う町づくり特別対策事業として創設されてから、年々充実してまいりました。本県の過去三カ年におけるこれら制度の利用状況などについて見ますと、例えば広域的な視点のもとに行われる特別対策事業といたしましては、小牛田町の千葉亀雄記念館、牡鹿町のおしか・ホエールランドなど六十四事業。それから、二十一世紀に向けた地域の政策課題に先導的に取り組むという趣旨のリーディング・プロジェクトといたしまして、白石市のスパッシュランド、涌谷町の町民医療福祉センターなど四事業、それから、みずから考え、みずから行う地域づくり事業を永続的に発展させるものといたしまして、大和町のふれあい文化創造センター、あるいは金成町の金成延年閣、南方町の花菖蒲の郷など四十八事業等全体で百四十一事業、総事業費六百六十七億円余りとなっております。今後ともこの地域総合整備事業債制度を活用いたしまして、市町村の町づくりを積極的に応援していきたい、このように思います。 また、活力のある地域づくり推進事業でございますが、御案内のとおり、市町村などが地域総合整備事業債などを活用して進める場合に、市町村の基幹的プロジェクトと認められる事業につきまして、県が三カ年で一億円を限度に財政支援を行っておるものであります。本事業は、平成元年度から平成五年度まで六十プロジェクト程度を採択することといたしておりまして、これまで三十九の市町村におきましてそれぞれ一プロジェクトを採択いたしておりますが、この事業に対する市町村の採択希望は非常に多いということは御意見のとおりでございますが、しかし、まず当面は公平の意味から言っても、一市町村一プロジェクトとしてやはり全県的にまず進めていくということが大事だと、このように思っております。その後の財政支援につきましては、県内の各市町村を取り巻くいろんな情勢、あるいは町おこし、村おこしの進展状況を踏まえて、その後の問題については、やはりその時点で考えてまいりたいと思います。 次に、地域づくりバックアップ事業によりまして計画された事業に対する支援策でありますが、先ほど申し上げました活力のある地域づくり推進事業を初めといたしまして、地域総合整備事業債、過疎債及び市町村振興資金貸付金などを活用していただきますとともに、これら以外の国の補助制度あるいは県のふるさと観光地づくり推進事業等の財政支援制度をどうか積極的に活用していただきまして、立派な町づくりをやってもらいたいと思っております。市町村の地域づくりについては、地域づくりバックアップ事業、また活力のある地域づくり推進事業、市町村振興資金貸付事業、あるいは広域圏活性化プロジェクト推進事業、宮城地域づくり大賞表彰事業など、ハード・ソフト両面にわたりまして、総合的にバックアップしているわけでありまして、過疎、山村、離島など、特定地域の振興策を組み合わせながら、これもまた市町村とよく相談しながら積極的に進めていきたい、このように思っております。これが宮城県全体の個性化、活性化につながっていくというふうに考えておるわけです。 次に、福祉問題でありますが、長寿二〇〇〇プランですが、本プランは、超高齢化社会の到来に対応した平成十一年度までの我が県の目標を明らかにしたものでありまして、県としましては、これに基づいて積極的にいろいろな対応をやってまいりたいと思っております。御質問の福祉施設の建設及び運営についてでありますが、今日の高齢者福祉施設は、施設の専門的機能を地域に還元することによりまして、在宅福祉サービスの拠点として積極的な役割を果たしてもらおうと、こう期待しておるわけでありますから、今後ともそれぞれの地域の実情や施設の機能をそれぞれ踏まえて県内に適正に配置してまいりたい。中でも地域住民の生活に密着したデイサービスセンター、大変喜ばれておるわけでありますが、あるいは在宅介護の支援センター等につきましては、御意見にもありましたが、おおむね中学校区ごとに整備を図っていくことが望ましいというふうに考えております。また施設の内容については、個室化の推進を図って入所者のプライバシーを守っていく。あるいは寝たきり老人をつくらないように、寝食分離の促進、また食堂の充実、デイルームの整備の充実など、より家庭の雰囲気に近いものを、そして通常の人と同じような生活時間が持てるように指導していきたいと思います。 更に、先般策定した宮城県保健医療福祉基本構想に基づきまして、県としましては、この保健と医療と福祉が一体となっていかなければないけない。このためのモデル的な施設をつくって模範を示していきたいと思いますが、これを見習ってそれぞれの市町村でもやっていただきたいと、こう考えておりまして、普及にも努力してまいりたいと思います。 高齢者と子供たちとの世代間交流については、この基本構想の中でもうたっておりますので、極めて好ましいことでございます。なお一層推進してまいりたいと思います。 なお、利用者負担の問題でございますが、これは御承知のとおり、施設のそれぞれの種類によって処遇の形態も異なりますし、国で定めた基準に基づくものでございますので、県として一律というわけにはなかなかまいらないということを御理解願いたいと思います。ただ、市町村への利用窓口の一元化につきましては、老人福祉法等の改正によりまして、平成五年の四月から特別養護老人ホームの措置権などの施設福祉、それからホームヘルパーの派遣などの在宅福祉が、それぞれ市町村に一元化されることになっております。 第二点目の、介護サービス制度についてのお尋ねでありますが、国民だれしもが老後生活においてひとしく介護のサービスが受けられる社会を実現していくことは、我々福祉対策の基本でございます。介護サービスにつきましては、国では福祉十か年戦略に基づいてホームヘルパーの増員、それからショートステイの増床などを図るなど、在宅福祉対策を拡充しますとともに、施策の一層の推進を図るために、平成二年、老人福祉法などを改正いたしまして、住民に身近な市町村を在宅福祉サービス推進の主体として、その責務を明らかにいたしましたほか、国が市町村事業費の二分の一以内を補助するなど、国の財政の支援の仕方を明らかにいたしております。県といたしましても、長寿二〇〇〇プランをもとにいたしまして、県民だれもがひとしく十分なサービスが受けられるように、サービスの提供主体であります市町村を指導いたしますとともに、国に財政支援の拡充を要望いたしながら、県としても必要な措置を講じまして、一層福祉対策を進めていきたいと思います。 このような在宅福祉を充実する上で特に重要な課題として御指摘いただきましたマンパワー対策でありますが、養成研修事業の充実の強化、あるいは待遇改善などをこれから進めていくなど、ホームヘルパーなどの専門職の確保と、その質的向上を図ってまいらなければならないと思っておりますが、県民一人一人の介護技術の向上なども必要でありますし、ボランティア活動もまた促進していかなければならない、こうして県民総ぐるみで介護活動全体を高めていく、こういう考えでおるわけです。 なお、御提案のありました現在のマンパワーを専門的中核従事者として育てていくための家庭奉仕員講習会の義務化、あるいは介護福祉士の制度などの単位認定制の導入、また介護サービス利用者保護のための不服審査機関の設置、市町村へのオンブズマン制度の義務化や立入調査権の付与につきましては、今後私どもとしても欧米等でどうやっておるのか、勉強させていただきたいと存じます。 第三点目の、市町村の高齢者保健福祉計画と措置権の移譲の問題でございますが、御承知のとおり、平成二年六月の老人福祉法の改正によりまして、平成五年四月から県及び市町村において、老人保健福祉計画の策定が義務づけられました。特別養護老人ホームなどへの入所措置権が県から町村に移譲されることになりました。老人保健福祉計画につきましては、平成五年度の早い時期に、全市町村における計画策定の終了を目指しておりまして、現在、庁内の指導推進体制を整備いたしまして、各種基礎調査の実施でありますとか、あるいは市町村職員の研修をどう進めていくかなど計画をつくっている、そういう準備を進めておるところでございます。 なお、国におきましては、市町村が計画策定を行う際参考にするために、全国の九カ所でモデル市町村計画の策定を現在やっておりますが、我が県におきましては、涌谷町においてモデル計画の策定に取り組んでおりますが、このモデル計画はあくまで参考でありますので、それぞれの市町村が主体となって計画を立てる、特に住民参加のもとにそれぞれの地域の条件を踏まえてつくる必要があろうかと思います。 次に、措置権の移譲に伴って仕事がふえてくるわけですから、国では平成四年度の地方交付税において必要な増員の経費、これを措置することといたしております。県といたしましても、従来にも増して必要な財政支援等を国に対しまして更に要望いたしてまいります。また、この措置権の円滑な移譲を図るために、平成二年度から町村職員の研修をやってまいりましたが、平成四年度も引き続き実施していきたい、このように思います。 次に、農協改革でありますが、お話のとおり、県下の農協は、昨年十一月の大会におきまして、西暦二〇〇〇年までに十一農協に広域合併をする、こういう決議を採択いたしまして、これは金融の自由化、農産物の輸入自由化の進行、担い手の高齢化など、大変難しい問題が農業、農協を取り巻いておるわけでありまして、広域の合併を進めることによりまして、経営基盤でありますとか、営農指導などをやはり一層強めていかなければなりません。また、農協本来の目的である地域農業の振興、あるいは農村社会の活性化、こういうことに主体的に取り組む必要があるわけでございます。したがって、高度な地域農業マネージメント機能を持たなければならない、こういう意味での組織体制を整備していくことが望ましいと考えております。これを受けて、平成四年度は農協中央会が十一地域ごとの農業・農村の振興ビジョンをつくりまして、それぞれ指針としていくということになりますので、県としましても、これを積極的にバックアップしてよい方向へ進めさせたい、このように考えております。また、合併を実現させていくためには、国におきましても、農協法の改正であるとか合併助成法の延長なども検討いたしておりますので、市町村と連携を密にしますとともに、中央会に対して職員を派遣いたしますなど、推進体制面でもなお引き続いて協力していきたい、このように思います。 次に、畜産指導体制の一元化でございますが、指導体制の改善の強化というものは、以前からも言われてきましたが、ぜひ進めていかなければならない重要な問題だと思っております。しかし、それには何といっても障害になっておりますのは、関係団体が自主的に話し合う、こういう機運が大事でありまして、そういう機運をつくりながら、相互理解と合意形成というものが基本になっていくわけでございますので、やはり関係者のムードをつくっていく、そういう方向にこれからいかなければいけないんだと、こういう環境を我々としては努力していかなければいけないんじゃないかと思っております。昨年、県畜産農協連内では、組織整備のための組合長会議ができましたし、また、県の生乳販売農協連におきましても、組織の強化に向けた対策委員会が発足いたしました。また、県畜産農協連、県経済連などを中心といたしまして、家畜市場問題の研究会も出ておりますので、家畜市場の統合を目指した検討がそれぞれ進められておりますので、我々といたしましても、これら関係者と一体となりまして、まとまらないのはどこに問題があるのかというようなこともよく詰めて、これから支援して統合合併の方向へ、あるいは一元化の方向へと向かってまいりたい、このように思っております。以上です。 ○議長(亀谷博昭君) 残余の質疑、質問は、明日に継続することにいたします。    ────────────────────────────── △散会 ○議長(亀谷博昭君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の議事日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。    午後四時四十五分散会...